2020 Fiscal Year Research-status Report
介護者のセルフケアプログラムの開発に関する実践的研究
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17K00767
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Research Institution | Hokusho University |
Principal Investigator |
風間 雅江 北翔大学, 教育文化学部, 教授 (60337095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
先崎 章 東京福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (20555057)
本間 美幸 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 准教授 (30295943)
八巻 貴穂 北翔大学, 生涯スポーツ学部, 准教授 (30364293)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 介護家族 / 介護職 / 介護者支援 / セルフケア / マインドフルネス / テキストマイニング / 心理教育 / オンライン支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウィルス感染症の拡大長期化の事態をふまえ、以下の活動を行った。 1.介護家族のセルフケアに関する心理教育をオンライン支援として行うための動画コンテンツを作成し、YouTubeでオンデマンド配信講座として配信し、視聴者にオンラインでアンケート調査を行った。動画の内容は、新型コロナウィルス感染症の心理面への影響と対処、介護をめぐるストレスの理解と対処、バーンアウト、ブリーフ・リラクセーションおよびマインドフルネスの理論と体験等を含み、心理学の知見をわかりやすく紹介しながら日常生活にとり入れる方法を具体的に説明した。視聴者からの質問にはメールで対応した。視聴者の関心には個人差があるが、ブリーフ・リラクセーションおよびマインドフルネス呼吸法の体験において視聴者の有用性評価が高かった。 2.過年度介護職を対象に実施した心理的支援のニーズに関する調査の自由記述回答に対してテキストマイニングによる検討を行い、その知見を学会で発表した。介護職への心理職による支援は、個別支援、職場外支援のニーズが高く、傾聴重視か心理教育重視かでニーズが分かれた。心理アセスメントの重要性が再確認された。 3.介護福祉士養成コースの大学生を対象に、ストレス・マネジメントについての心理教育を実施した。事後アンケートでは、心理学的ストレス理論、マインドフルネス呼吸法、セルフコンパッション等への関心の大きさ、および、心理教育で得た知識を介護実習中のストレス対処に活かすなど実用性の高さがうかがわれた。 4.リハビリテーション医学・精神医学の観点から、介護職が現場で遭遇しやすい疾患・症状への具体的な対処方法、多職種連携のポイントなどについて、わかりやすく説明する書籍を監修した。他にも精神医学・精神医療についての書籍を分担執筆した。さらに、障害受容・障害適応についての総説論文を公表、および多職種連携について学会発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年度は、介護家族および介護職それぞれを対象に、小集団等の形式で対面にて、セルフケアプログラムを実施し事後検討を行う予定であったが、新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、実施することができず、研究計画を変更せざるを得なかった。研究フィールドである札幌市の高次脳機能障害のある当事者・家族会が開催されず、フィールドワークおよび実践研究ができなかった。また、埼玉県の一病院にて実施されている高次脳機能障害者の外来心理グループに参加している家族(介護者)10名程度に、セルフケア講座(月2回程度)を実施し、当事者と家族の語りから、ニーズと支援の在り方について質的検討を行う予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大防止の緊急事態宣言によりセルフケア講座を実施することができなかった。本事業は当初、令和2年度が最終年度であったが、上記の理由により1年間の研究期間延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度も新型コロナ感染症の影響が続くことが予測され、対面でのセルフケアプログラムの実践研究および調査実施、患者・家族会の開催・参加、ならびに外来心理グループ実施が困難となる可能性が高い。コロナ禍が収束しない場合は、研究計画を次のように変更する。1.令和2年度に実施した介護者のセルフケアに関する心理教育のためのオンライン動画コンテンツは試行的段階にあり、今後さらに検討を重ねて介護者のニーズに応える動画コンテンツに改善していく。改善したコンテンツの有用性を介護家族を対象とした調査によって検討する。2.高齢者介護施設で勤務する介護職がコロナ禍においてどのように対処してきたかをオンライン調査によって実態を把握する。3.介護者のセルフケア・プログラムの実践に関する過去のデータの再検討、および文献研究を行う。その上で、本研究テーマのまとめを冊子にする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、当初計画していた国際学会への参加が困難になり、予定していた研究内容を実施することができず、研究計画を変更せざるを得なかったため、次年度使用額が生じた。本来は今年度が最終年度であったが、1年間の研究期間延長を申請し承認された。次年度使用額は、セルフケアプログラムの実践研究の対象者への謝品、オンライン支援としての心理教育のための動画コンテンツ作成のための物品購入、オンライン調査の委託費、研究成果をまとめた冊子の印刷費等として執行する予定である。
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Research Products
(6 results)