2021 Fiscal Year Research-status Report
多世代共生コミュニティ構築と維持に向けた地域連携・協働の実態と課題
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17K00784
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
山岸 雅子 金沢大学, その他部局等, その他 (00239873)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域連携 / 多世代共生 / 輪島KABULET / 生涯活躍のまち / シェア金沢 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢期居住には近隣との交流や地域から日常的支援が重要である。しかし、地域連携・協働の多世代共生コミュニティ構築と維持には困難が指摘されている。本研究は成功先進事例として知られる社会福祉法人佛子園が運営する「シェア金沢」及び、平成30年4月に開設された佛子園による地方創生施策「生涯活躍のまち」認定プロジェクト「輪島KABULET」を主な調査対象とし、生涯活躍のまち構想、まちづくりと連携したサービス付き高齢者向け住宅のあり方に示唆を得ようとしている。また「輪島KABULET」においては、地区の悉皆調査をすることから、同時に、人口減少・高齢化が進む調査対象地域である輪島市中心部における空き家の実態と変化について把握し、空き家活用による事業に対する考察をしようとしている。 令和2年度は、「輪島KABULET」及び「シェア金沢」におけるサービス付き高齢者向け住宅住民、周辺住民に対し調査を実施する予定であったものの、令和元年度末からのコロナ感染症の拡大の中で、これまでと同様の調査の実施が困難であったことから、調査の実施を見送り、関係情報の収集、文献調査の実施にとどまった。 令和3年度もコロナ感染症の影響が続き、引き続き調査対象地と打合せを続けたが、変化する状況の中で計画的に実施することが困難であり、有益な結果を得ることができないと判断されたため、現地での調査を実施しなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2年にわたる研究遅延の理由には、大きく3つの困難があったことによる。(1)コロナ感染症による調査計画への影響 (2)研究代表者の立場の変更 (3)担当職員転出等調査対象地の事情 (1)「輪島KABULET」において、開設半年前(平成29年度)、開設半年後(平成30年度)、開設1年半後(平成元年度)に、拠点施設周辺住民に対して調査を実施した。この調査は、変化を把握するために、毎年同時期に、同地区住民に対して実施した悉皆ヒアリング調査で、佛子園の全面的な協力のもと、地区の住民組織はもとより、住民にも認知されているものである。この調査では、調査対象地を理解した上で、ヒアリング技術やマインドの質を維持した調査補助員10名程度を確保し、調査対象者への丁寧なヒアリングを実施してきた。ゼミ活動と連動させ経験を積みながら調査補助員を育成していることから成立している調査といえる。感染を危惧し高齢化の進む地区への調査が困難であること、フィールドワーク・グループ学習が困難となり調査補助員の育成が困難であること、立てた調査計画について感染状況によって変更を余儀なくされるが、変更は困難であることなどが理由である。令和3年度は1度調査実施計画を立てたが感染状況の変化等から調査を断念した。 (2)研究代表者が令和2年度から理事に就任し研究教育活動に専念できなかったため、柔軟な対応が困難であった。 (3)「輪島KABULET」において本研究の担当の職員の転出、施設長の交代があり対応が遅れたこと、コロナ感染症への対応や新施設(空き家活用によるコワーキングスペース、食事処、二輪専用ガレージ)開設等が相次ぎ、調査対象地の事情があること等もあるうえ、遠隔による打合せでは十分な情報共有ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者は令和4年度も引き続き理事に就任し、理事職と兼務で行っていた研究室活動を令和3年度末で閉じたことから、学生を育成しヒアリングを実施する形態の悉皆調査が困難となった。また、当初はサ高住住民、周辺住民参加のワークショップによる意見聴取を予定していたがこれまで実施できず、今後も困難であると考える。期待したコロナ感染症の影響の縮小は現時点では見込が薄く、令和4年度も同程度の影響が継続するであろうと思われるが、対象者を考えると郵送等による調査は回収率だけでなく回答率も非常に低くなることが予想される。 以上の状況や2年間の試行錯誤の経験を踏まえると、確実に研究を遂行するためには調査の規模や方法を抜本的に変えなければならないと考える。そこで、単独あるいは少人数の短期的調査補助者も含めた小規模ヒアリング調査に切り替える予定である。 研究全体としては、コロナ感染症への対応も含めた地域連携・協働の実態や課題について、調査結果の分析を行い総括する。地方創生、生涯活躍のまち事業は、高齢者の地方移住から年齢や移住にこだわらず、すべての年齢を対象とし関係人口や住民も巻き込んだコミュニティづくりへと、コンセプトが変化してきている。事例も増加してきており、これらを踏まえた総括を行う。
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Causes of Carryover |
進捗状況に記載のとおりの理由により、予定していた調査、周辺住民も巻き込んだ中間報告会・意見聴取(ワークショップ)が現地に行くことができず、実施できなかったこと、先進地の視察が実施できなかったため、予算の支出が生じなかった。打合せや情報収集は電話や遠隔により行った。 今年度は現地でのヒアリング調査の実施と総括を実施する。
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