2018 Fiscal Year Research-status Report
誤答原因判定を基礎とする学習PDCAサイクルによる数学用独習システムの開発
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17K01003
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Research Institution | Kure National College of Technology |
Principal Investigator |
深澤 謙次 呉工業高等専門学校, 自然科学系分野, 准教授 (50238440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 泰之 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (70273208)
赤池 祐次 呉工業高等専門学校, 自然科学系分野, 准教授 (70311074)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | STACKの描画機能の拡張 / 対話的に操作できる図 / 数式手書き入力 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の研究実績は、主に次の3つである。 (1) サーバーの利用による学習データ収集、(2) タブレット端末向け数式入力インターフェイスの開発に関する基礎的研究、(3) STACK上での作図ツールの開発。これらについて、以下に順に説明する。 (1) については、前年度のポテンシャル・レスポンス・ツリーの設計を受けて、数学用 e-ラーニングシステムSTACK上で問題を作成し、学生に使ってもらった結果得られたデータを基に誤答の判定の可否を調べた。その結果、かなりの部分で改善が必要であることがわかった。したがって、小テストモジュールを用いた独習システムの効果についての検証は実施できていない。 (2) については、数字とアルファベット(大文字・小文字)を認識する場合の正答率を、実用的に使えるレベルまで上げることに苦労している。今後、十分高い認識率が得られそうもない場合は、誤認識したときの効率的な修正方法を考慮する必要があると思われる。 (3) については、前年度STACK上の描画機能の拡張として、対話的に操作することができる図を作成するための方法を、いくつかの具体的な使用例で示したが、動的に決定された関数や変数を用いて図を作成することはできなかった。今年度は、昨年度できなかった、動的に決定された関数や変数を用いた図の作成方法を、Cinderellaという動的幾何ソフトウェア用に作られたCindyScriptという言語と、ウェブ上の対話的な要素を作るフレームワークであるCindyJSを利用することで実現する方法を見つけ、その具体的な使用例を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画した研究実施計画と比べて、研究の進捗状況がやや遅れている理由は、以下の通りである。 当初の計画では、平成30年度は、(1) サーバーの利用による学習データの収集および有効性の検証、(2) タブレット端末向け数式入力インターフェイスの開発、(3) 開発した作図ツールの動作チェックと図の描画時間の調査および改善を実施することにしていたが、(1), (2) は、誤答の判定にかなりの改善が必要であること、認識率が実用的に使えるレベルに達していないことなど、いくつか問題が生じ、予定通りには進んでいない。(3) については、当初計画の段階で想定していた作図ツールとは違うものを開発することができたが、その開発に時間が掛かってしまい、やはり予定通りには進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度までに実施する予定だった、(1) 問題の誤答の判定が適切に為されるよう改善し、小テストモジュールを用いた独習システムの効果について検証すること、(2) タブレット端末向け数式入力インターフェイスの開発に関しては、実用的に使えるレベルまで認識率を上げ、数学記号や関数のメニューの設計を行うこと、(3) 開発した作図方法の動作チェックと図の描画時間の調査および改善すること、を急いで行うと共に、当初計画していた平成31年度の研究実施計画を予定通り実施してゆくつもりである。 具体的には、平成31年度は、前年度までに構築した数学用独習システムの学習効果を高め実用的なものにブラッシュアップし、タブレット端末向け数式入力インターフェイスの開発を完成させ、STACK用作図ツールをより使いやすいものになるよう、完成度を上げる予定である。
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Causes of Carryover |
研究代表者については、旅費や物品費の使用金額に端数があったため、残額が80円残った。研究分担者の1人についても同様であり、合計20,580円が次年度使用額として請求することになる。この次年度使用額は金額がそれほど大きくないため、平成31年度分として請求する助成金と合わせても、大きく変わることはなく、当初の使用計画通り、使用する予定である。
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