2019 Fiscal Year Research-status Report
科学的に認識できる風水害用の防災教育プログラムの開発
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17K01033
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
此松 昌彦 和歌山大学, 教育学部, 教授 (50314547)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 風水害 / 土砂災害 / 防災教育 / 仮想空間教材 / 陰陽図 / 和歌山県 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年10月には東日本などを主として台風19号などによる河川の氾濫などが各地で発生し、過去5年間で水害・土砂災害の中で死者数・行方不明者数が2番目に多い。毎年のことながら河川災害についての防災教育がますます重要になってきている。 平成30年度においては学校教育の理科において使用できる土砂災害や河川の洪水などを理解できる教材の開発を実施した。特に1mメッシュのレーザー測量データを利用した陰陽図(朝日航洋㈱特許)をもとに和歌山県南部地域の詳細な凹凸をイメージできる地図を作成した。また同時にVR教材として国土地理院地形図や地質図、陰陽図を合成して空間的に認知できる仮想空間教材を開発した。 今年度はそれらの陰陽図による詳細地図、仮想空間教材を利用して、具体的な教材としてどのよう防災教育プログラムを作れるのかを研究した。今年度は大学生に扱ってもらったが、仮想空間教材はジョイスティックを使い、空を飛んでいるように扱うことができるため、上空からの地形を認識しながら谷や尾根を識別することができる。また地質図とも重ねることが可能なので、周辺の地形との違いが地質による違いと一致することも簡単に認識することができる。そのため過去の平成23年の紀伊半島大水害時の土石流堆積物の発生地点の多くが火成岩起源の場所で発生し、地形的にも急斜面になっていることも確認できる。このように陰陽図の仮想空間教材は、土砂災害現象を認識するのに理解しやすい教材となっていることが明らかになってきている。ただ小学生ではまだ実践ができていないのが課題でもある。さらに3Dプリンターによる地形を再現して、触りながら火成岩と堆積岩境界の違いを認識してもらうことも行った。リアルに3D模型と仮想空間教材と比較することで、傾斜の傾向などと陰陽図の色の違いについて検討することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は例年の風水害の調査だけでなく、研究室等の移転作業があり、そこで数か月準備などにより研究が停滞してしまい、さらに令和2年の2月頃から新型コロナ禍により、学校関係との打ち合わせができなくなってしまった。そのため研究を進めることができずにいたため、研究エフォートは10%程度になってしまい、予定の期間を延長して申請した。 最近の和歌山県周辺では風水害が多発しており、特に平成30年度においては大阪府北部地震、7月の豪雨災害、9月の台風21号による停電や風による建物被害が 発生している。そこでの被害調査をはじめ、その時でしか調査できないヒアリング等があるため、本研究の進みが遅くなってしまう。本研究では当初でエフォー ト20%と申請していたが、突発的な災害調査が入ったため10~15%程度しかとることができなかった。 風水害の増加という背景のもと学校現場では、土砂災害や河川の洪水や氾濫についての関心は高い。しかし現行の指導要領では十分に教えることができないよ うだ。そこで、学校現場は次期の新指導要領に合わせて、新しい川や土砂災害の教材を希望していることが学校現場の教員とのヒアリングによりわかってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度にできなかった理科において新指導要領にもとづいた土砂災害、河川の氾濫などを踏まえて学校におけるアンケート調査を夏休み前までに実施する。 第2フェーズとして、平成30年度で開発した陰陽図を使った仮想空間(デジタル)教材を学校として利用できる教材にするための工夫を学校現場の教師と連携することでプログラム化することを目指す。 地域のハザードマップのようにできないかを模索し研究する。 令和元年度でも行った土砂災害や風水害等の写真やデータの収集や児童・生徒のハザードマップについての理解について調査して、開発した教材を体系的に整理し、小学校や中学校での理科として教材化する。 第3フェーズとして学校現場の意見を聞きながら教材を改良し、学校現場でも必要な教材として提言する予定である。
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Causes of Carryover |
本研究のエフォートを20%としていたところ、平成30年度の災害調査に時間をとられたのと、同僚教員の退職したあとが不補充のため授業負担がやや増加しエ フォートが10~15%になってしまったのに、今年度は研究室・実験室などの移転や2月から新型コロナによる移動自粛などが発生しエフォートが10%程度になり、予定通りの研究を進めることができなかった。また協力学校との協議の中で、新指導要領の始まる前の方が学校も時間を取りやすく、土砂災害などの風水害の話をしやすくなっているという学校側からの要望から遅れる原因とななったものの、打ち合わせ予定時に新型コロナによる自粛となって研究費に残額が生じた。そこで次年度では、9月頃までの前期に当該年度に実施できなかった協力学校でのヒアリングや県内の学校での風水害への防災教育アンケートと防災教育プログラムについて意見聴取などを実施する。9月以降は平成30年度で開発した実験教材を使用して、改良を行い新たな土砂災害のための防災教育教材を提案する。これらを利用して、科学的に認識ができる防災訓練プログラムとして協力学校での実践で使ってもらうことを予定している。また学校での通学路の安全マップも作成し、研究費を使用する。
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