臨床用ＭＲ装置およびCT装置を用いた出土木材年輪年代測定法の開発

2018 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K01197
• Research Institution: Kyorin University
• Principal Investigator: 森 美加 杏林大学, 保健学部, 学内講師 (90737165)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 芝生 春菜 杏林大学, 保健学部, 助教 (20784606) ; 久原 重英 杏林大学, 保健学部, 教授 (60781234) ; 山田 昌久 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (70210482) ; 小林 邦典 杏林大学, 保健学部, 特任教授 (90723867)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: MRI / 年輪考古学

Outline of Annual Research Achievements

臨床用MRI装置およびCT装置を用いて、木質文化財の形状・大きさ、保存状態に応じた各撮像法の撮像パラメータを最適化、年代測定が可能な年輪画像を取得することで、木質文化財の非破壊年代測定の確立を目指す。
研究2年目となる本年度は遺跡から出土した木材（含水率が非常に高い状態：飽水状態）から乾燥保存木材（含水率が非常に低い状態：絶乾状態）までを想定し、飽水状態から絶乾状態まで含水率を段階的に調整した出土木材模擬ファントム（ヒノキ・ブナ現生材）を作成、CTおよびMRIの含水率による適応範囲を検証した。CTは乾燥木材（ヒノキ：気乾-60％、ブナ：気乾-100％）、MRIは高含水率（飽水状態）の木材に適しているため、両者を相補的に利用することにより非破壊的年輪年代測定法の適応が大幅に広がるといえた。中含水率の試料に対してはCT・MRIとも年輪の描出が困難であったため、これに対応できるパラメータの検討が必要である。
また、T2強調のパラメータの最適化によりUltra-High Resolution T2WI（uHR-T2W）にて空間分解能0.05mmおよび0.03mmでの撮像に成功した。小さなFOVを少しずつオーバーラップさせながら資料全域を撮像することにより、長さ約30cmの比較的大きな資料に対する年輪曲線の作成に成功した（空間分解能0.05mm）。年輪曲線の作成には0.01mmの分解能が理想であるとされているが、この方法を用いて作成した年輪曲線は従来法である光学スキャナと非常に高い相関を示した。

Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

前年度で未着手であったCTでの撮像をおこない、含水率によるCTおよびMRIの適応範囲の検証を詳細に行った。その際、試料作製と撮像に予想以上に時間を要したため進捗に遅れを生じた。
本年度の目標としていた年輪年代曲線データベースの精度の向上、および対象年代の広域化としたが、試料の入手に難航している。

Strategy for Future Research Activity

次年度は臨床用MRI装置による高解像度撮像の高速化について検討する。
また、現在CTおよびMRIの双方で描出が困難な中含水率木材の至適パラメータについて検討する。

Causes of Carryover

国際学会への参加を次年度に変更したため、未使用額が生じた。当該未使用額は国際学会の旅費・参加費に充てる。