2021 Fiscal Year Research-status Report
Study on Cooperation and Collaboration System to Promote "Build Back Better"
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17K01338
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
青田 良介 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 教授 (30598107)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山崎 栄一 関西大学, 社会安全学部, 教授 (00352360)
室崎 益輝 兵庫県立大学, 減災復興政策研究科, 教授 (90026261)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 復興検証 / 中間支援組織 / 復興財源 / 自治体間連携 / 広域避難者支援 / コロナ禍での複合災害対策 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ禍の下、出張自粛が要請されたなかで実現可能な研究を実施した。 (1)災害時及びその後の自治体間連携に関する研究:関西広域連合によるカウンターパート方式と、国(総務省)が開発した「被災市区町村確保システム」との比較分析を行った。支援決定のメカニズム、先遣隊の派遣システム、平常時の準備対策、応援自治体の資源の活用、被災地への関与の度合い、中長期支援に向けた継続性等を分析し、学術論文として登稿した。 (2)コロナ禍も見据えた中小規模の基礎自治体の災害対応力向上に関する研究:全国各地災害が多発する度に、規模の小さな基礎自治体を中心に災害対応力等が問題となる。コロナ禍での危機管理対策・体制や災害発生前の準備状況等に関するアンケート調査を兵庫県内の市町に対し実施し、学術論文として登稿した。また、先進的な取組みを進める基礎自治体関係者(芦北町・益城町・日田市・総社市・気仙沼市)を招き、「基礎自治体の対応力等を考えるフォーラム」をオンラインで開催するとともに、全国1741市区町村を対象にした基礎自治体の災害対応力向上に関するアンケート調査を実施した。 (3)コロナ対策における広域自治体の役割に関する研究:新型コロナウイルス感染症にかかる都道府県の役割が社会的にも注目を浴びる中、「新型コロナウイルス感染症対策本部会議にかかる情報公開等に関するアンケート調査」を実施し、29都道府県より回答を得た。 (4)福島原発による広域避難者支援のあり方に関する研究:東日本大震災から10年経過する中で、広域避難者に対する官民の支援策を比較研究した。公的支援が、主に放射線量を基準に設定され避難者間の格差拡大につながった一方、民間支援団体では分け隔てなく、現在も住まい、医療・福祉、しごと、子育て・教育等で活動を継続している。大規模災害では長期避難生活に見合った支援が不可欠な旨考察し、学術論文として登稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)中間支援組織と復興財源を連動させた復興のあり方に関する研究:阪神・淡路大震災からの復興を推進するための中間支援組織と財源を中心に検証研究を行った。官民で構成する中間支援組織と、震災に特化した復興基金が連動することで、行政、専門家、支援者による協働が円滑に進むことを明らかにした。現在、東日本大震災からの復興において、福島原発における避難者支援における官民の連携について、愛知県を事例に研究中で、学術論文を投稿する予定である。 (2)災害時及びその後の自治体間連携に関する研究:国の応援システムが、全国各地の自治体間連携を量的に補う上で効果的である一方、長期支援を行う上では、関西広域連合のように構成府県同士で連携をとりながら、応援先自治体とも顔の見える関係を構築するのが効果的なことを明らかにした。特に、支援の長期化とともに、技術職員の確保が不可欠であり、東日本大震災での長期技術職員派遣事例を分析することで、継続する上での秘訣や課題等を考察中である。今年度、学術論文を投稿する予定である。 (3)基礎自治体の災害対応力に関する研究:昨年度実施したアンケート調査を分析し、市区町村規模に応じた特色及び特に中小規模自治体が抱える課題を抽出する。先進的な自治体の取組を紹介するフォーラムを継続するとともに、中小規模の基礎自治体の災害対応力向上のためのモデル構築につなげ、学術論文を投稿する予定である。 (4)コロナ対策における広域自治体の役割に関する研究:昨年度実施したアンケートを分析し、学術論文を投稿する予定である。これを基に、感染防止、給付金交付、施設等での感染対策、生活困窮者や中小企業への対応等において、どのような役割を果たしたかの検証につなげる。
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Strategy for Future Research Activity |
大規模災害後の復興を推進するうえで、行政、企業、NPO、コミュニティ、ボランティア等社会を構成する主体が連携・協働するシステム構築を目標に研究を進めてきた。昨年度に続き、「基礎自治体の災害対応力に関する研究」「自治体間連携に関する研究」「福島原発による広域避難者支援の官民連携にかかる研究」を継続、発展させるとともに、コロナ禍も災害と捉え、「コロナ対策における都道府県の役割にかかる研究」を推進する。さらに、海外事例と比較し、より考察を深めるため、「米国等海外における多様な主体の連携」に関する研究を行う。 それまでの研究と合わせ、「官-官」「官-民」「民-民」連携を中心に、今後の巨大災害における国、地方自治体、民間企業、NPO/NGO、ボランティア、コミュニティ等、それぞれの主体の特性、活動可能な範囲、不足する対応能力の補完等について考察する。組織・人材の配置、財源の創設・配分、制度の見直し、運用等を中心に、連携・協働のモデルを構築する。
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Causes of Carryover |
本研究では、研究対象となる被災自治体、支援する企業、NPO、コミュニティ、ボランティア、被災者等を現場を調査し、そこからの知見を得ることに重点を置いている。コロナ禍にあって出張を自粛したために、海外調査を含め旅費の執行を控え、それまでの研究の蓄積や文献等により研究成果として論文発表を行った。令和4年度は、使用額を活用し、可能な限り現地に赴き、研究につなげたい。可能であれば、海外調査も予定している。
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Research Products
(9 results)