2017 Fiscal Year Research-status Report
ニューロフィードバックが高齢者の認知機能に及ぼす効果の解明
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17K01474
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
山口 哲生 東邦大学, 医学部, 講師 (70464592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 美弥子 東邦大学, 医学部, 教授 (50256658)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ニューロフィードバック / 高齢者 / ワーキングメモリ / α波 / SMR波 / θ波 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,α波(もしくはSMR波)の振幅を強化,θ波の振幅を抑制するニューロフィードバックが高齢者の認知機能に及ぼす効果を検討した。ニューロフィードバックとは,脳波の変化を視覚刺激や聴覚刺激として実験参加者へフィードバックすることで参加者自身が脳波を制御する手続きである。一般的なニューロフィードバックの手続きでは,リアルタイムに測定される脳波がプログラムされた閾値を超えると音や画像等の強化刺激が参加者へフィードバックされ,その結果として特定の脳波(周波数帯)の振幅が増加または減少する。個人差はあるが,一般にα波の振幅は20歳前後がピークであり,その後は加齢とともに低下する。その一方で,低い周波数のθ波(4Hz-8Hz)は,加齢とともに増加することが示されている。また,健常者に比べてアルツハイマー患者では,θ波が多く示されることも明らかになっている。本研究ではニューロフィードバックの効果を検討するために,介入の前後で以下のテストを実施した。①開閉眼時の脳波,②RST (Reading Span Test)課題,③簡易型認知機能検査(MMSE),④「ワーキングメモリ」,「実行機能」,「注意」,「エピソード記憶」を測定する認知テスト。 平成29年度は,男性高齢者を対象に,SMR波を強化,θ波を抑制する訓練を実施した。その結果,介入の前後でMMSEと認知テストの得点に有意な変化は見らなかったが,θ波とSMR波の比率(θ波/SMR波)は,有意に減少した。一方,RST課題は,実施そのものが困難な参加者もおり,本研究ではその使用を中止した。次年度は,θ波の抑制が認知機能に及ぼす効果を明らかにするために,効果測定に適した課題を改めて選定しなおす。また,認知機能に対して明確な効果が示されなかった原因として,訓練セッションが不足していた可能性も考えられるため,この点についても改善する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで行った実験の結果から,ニューロフィードバックによりθ波を抑制できることが確認された。その一方で,θ波の抑制が認知機能の改善に繋がるか否かについては明らかになっていない。その理由として,まず,ニューロフィードバックの効果を測定するテストの選定に問題があった可能性が考えられる。MMSEは,認知症のスクリーニング検査として用いられるが,本研究では,すべての参加者でその得点に大きな変化は見られなかった。また,リーディングスパンテストは,実施そのものが困難な参加者もおり,効果測定の指標としては適さなかった。平成30年度は,ニューロフィードバックが認知機能に及ぼす効果を明らかにするために,効果測定に適した課題を改めて選定する。また,認知機能に対して明確な効果が示されなかった原因として,訓練セッションが不足していた可能性も考えられるため,この点についても改善する。ただし,長時間のセッションや長期間の実験は参加者の負担となるため,この点については十分配慮する。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き,平成30年度は,高齢者を対象にSMR波を強化,θ波を抑制するニューロフィードバックを実施する。効果測定については,新たなテストを選定し,介入の前後で実施する予定である。また,訓練セッションが不足していた可能性については,当初の研究計画にあったように以下の方法で安定基準を求めることで対応する。具体的には,最低10回の訓練セッションおこない,その後,以下の安定基準を求める。まず,最終6セッションにおいて,連続する2日間ごとに対象となる周波数帯の平均振幅値を求める。次に,3つの平均値が上昇および下降系列になく,各平均値の差が10%以内であれば,安定基準を満たしたものとし,セッションを終了する。安定基準を満たさない場合は,最大20セッションまでおこないセッションを終了する。
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Causes of Carryover |
29年度は宿泊を伴う遠方への学会出張が1名/1回のみだったので、交付額と支出額の間に差異が生じた。平成30年度は、宿泊を伴う国内外の学会出張を複数回予定しているので、残金はそちらで使用する計画である。
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Research Products
(6 results)