2021 Fiscal Year Research-status Report
ニューロフィードバックが高齢者の認知機能に及ぼす効果の解明
Project/Area Number |
17K01474
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
山口 哲生 東邦大学, 医学部, 講師 (70464592)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 美弥子 東邦大学, 医学部, 教授 (50256658)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ニューロフィードバック / 高齢者 / ワーキングメモリ / 脳波 / 認知症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、α波からβ波の振幅を強化、θ波の振幅を抑制するニューロフィードバックが健常高齢者の認知機能に及ぼす効果を検討する。ニューロフィードバックとは、脳波の変化を視覚刺激や聴覚刺激として実験参加者へフィードバックすることで参加者自身が脳波を制御する手続きである。一般的なニューロフィードバックの手続きでは、リアルタイムに測定される脳波の振幅がプログラムされた閾値を超えると音や画像等の強化刺激が参加者へフィードバックされ、その結果として特定の脳波(周波数帯)の振幅が増加または減少する。特定の脳波周波数帯の振幅を増加(減少)させることで臨床効果が期待されるニューロフィードバックの背景には、シナプスの伝達効率の変化があることが示されている。 前年度に引き続き、2021年度は新型コロナウィルス(covid-19)の影響により、高齢者を対象としたデータの収集が困難であったため、主にデータ解析を行った。その結果、これまでの結果と同様に、健常高齢者におけるθ波の抑制がワーキングメモリの向上に寄与する可能性が示唆された。ニューロフィードバックが健常高齢者の認知機能向上につながることを示した本研究の結果は、ニューロフィードバックを軽度認知障害(MCI)高齢者の認知機能向上に適用可能か否かを試みる契機となった。ニューロフィードバックがMCI高齢者の認知機能の向上に効果を示すことが明らかにできれば、リハビリテーション、老年心理学、予防医学等の分野において応用が可能であり、また、超高齢社会に突入している我が国において、高齢者における認知症の予防に貢献することが期待できる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度に引き続き、2021年度も新型コロナウィルス(covid-19)の影響により、高齢者を対象としたデータの収集が困難であったため、研究実施期間を延長した。
|
Strategy for Future Research Activity |
高齢者の新型コロナウィルスワクチン接種率は高い水準で維持されていることから、2022年度は、データ収集を再開する予定である。また、これまでに得られたデータの解析および学会発表、論文化を進める予定である。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス(covid-19)の影響により、予定していた学会出張が行えなかったため、交付額と支出額の間に差異が生じた。次年度は、国内の学会出張を複数回予定しているので、そちらで使用する計画である。また、本研究の結果を論文化する際に必要となる英文校閲やオープンアクセスの雑誌に投稿する際の掲載料に使用する。
|
Research Products
(5 results)