2018 Fiscal Year Research-status Report
高齢者に特化した口腔ケア訓練・評価システムによる適切な口腔ケア技術についての研究
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17K01563
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
森川 茂廣 滋賀医科大学, 神経難病研究センター, 客員教授 (60220042)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平井 慎一 立命館大学, 理工学部, 教授 (90212167)
王 忠奎 立命館大学, 理工学部, 助教 (50609873)
山下 敬 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (50758018)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 看護工学 / 口腔ケア / 力覚センサ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、これまでに製作した歯ブラシの正面・側面の2方向と下顎の片側7本の歯根部とに力学センサを設置した口腔ケアシミュレータと、力学データの解析のために独自に開発したプログラムを用いて、教育的背景の異なる学生を対象として基礎データを収集し、分析した。口腔ケアを行う対象はヒトではなくシミュレータであり、倫理的な問題は小さいと考えられたが、対象となる被験者が自由意思に基づいて研究に参加できることを配慮して、研究計画について学内倫理委員会の承認を得たのち研究に着手した。 対象としては、歯科衛生士養成課程の3年生(最高学年)女子10名,看護大学の3-4年生女子10名,医系以外の大学の3-4年生男性・女性各10名ずつ、計40名の力学データを収集した.歯ブラシと歯根部のすべてのセンサについて、最大力、力の積算総和、時間当たりの平均、検出ピーク数、ピークの力の総和、ピーク当たりの平均の6つの指標を求めた。各データについて、一元配置分散分析と多重比較を行ったが、4群間に統計的な有意差は認められなかった。しかしながら、歯科衛生士養成課程の学生では、他群に比べて、比較的短時間に規則的にブラッシングを行い,奥歯も前歯も均等に磨く傾向がみられ,被検者間のばらつきも小さかった。この結果は、歯科衛生士過程の学生に対する教育効果の表れであると考えられ、今後、このシミュレータを教育訓練システムとして応用するにあたっての基準データとして活用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
倫理委員会への申請を行ったため、若干の遅れは生じたが、当初の予定通り、口腔ケアの専門的な教育を受けた学生から、口腔ケアには無縁の学生まで40名の基礎データを収集して独自のプログラムでデータ分析を完了した。この結果は、本年6月に開催される第7回看護理工学会での発表を予定している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度収集した基礎データをもとに、現在のシミュレータを口腔ケアの教育・訓練システムとして利用する研究へと発展させ、その教育的効果を評価する。 さらに、現在のシミュレータは、片側7本のみに力学センサが設置され、しかも下顎骨のみがむき出しの状態である。被検者の利き腕や右側と左側の口腔ケア手技の違いを明らかにするとともに、実際に近い口腔ケア手技が要求されるように、両側14本の歯牙に歪みセンサーを埋め込んだ歯列モデルを作製し、人体の硬さに近いシリコンで頬と口腔のモデルを作製し、その中に歯列モデルを設置したよりリアリティーのある口腔ケアシミュレータの製作を目指す。
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Causes of Carryover |
前年度購入を予定していたデータロガー(約30万円)を現有の他社製品で代用したため今年度に繰り越していた。今後の研究計画に記載したように、来年度には、両側14本の歯牙にセンサーを埋め込んだ歯列モデルとシリコンで人体の硬さに近い頬と口腔のモデルを作製する計画であるため、今年度はほぼ当初予定していた支出にとどめ、来年度のよりリアリティーのある歯列モデルの作製に予算を充当する予定である。
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Research Products
(14 results)