2017 Fiscal Year Research-status Report
「共創するファシリテーション」理論の構築と現場への活用
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17K01645
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Research Institution | Toyo Eiwa University |
Principal Investigator |
西 洋子 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (40190863)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 敬之 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (10103615)
郡司 幸夫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40192570)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 共創するファシリテーション / 身体表現 / ワークショップ / 被災地 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.被災地での身体での共創表現ワークショップ「てあわせ」の実施:2017年度は,当初の予定通り,被災地での身体での共創表現ワークショップ「てあわせ」を年間10回実施することができた.研究代表者の西は,これまでのファシリテータの立場から参与観察者の立場に完全に移行することを目指したが,現地運営組織の希望もあり,ワークショップの一部はファシリテータ役を務めながら,多くは参与観察を行った. 2.映像記録と集団での位置の検討:毎回のワークショップでは,参加者が自由な「てあわせ」を行う「てあわせ・のはら」場面を中心にビデオ撮影を行い,映像記録を収集した.「てあわせ・のはら」場面での個々の参加者および参加者とファシリテータの関係性について,これまでの研究での集団の位置計測の解析結果を参照しながら考察を深めた.新たにファシリテータ役を担う者においては,自分がかかわる個人や集団内へのはたらきかけは実現できているものの,集団全体を捉え,固定化した境界を崩し,新たなつながりや表現を促すようなはたらきかけは弱いことが見出された. 3.言語的分析:現地ファシリテータを対象にインタビュー調査を実施する予定であったが,言語化することでファシリテーション自体が強く意識化され,言動が意図的になる可能性があるため,個別インタビューは2年目に先送りすることとした.代わりに,毎回のワークショップ終了時のコメントや,8月に行ったファシリテーション勉強会での討議内容から,現地ファシリテータの課題を見いだすこととした.現地ファシリテータはいずれも,言葉がけの詳細にこだわり,全体をどのようにつかんだらよいのかを課題としている点が特徴的であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
・被災地での身体での共創表現ワークショップ「てあわせ」は,現地運営組織の協力のもと順調に実施できている. ・3名の研究者はワークショップに参加しながら,観察や討議を繰り返している. ・毎回の映像記録は順調に収集でき,ファシリテータと参加者,参加者相互による集団での位置のあり方についての検討は進んでいる. ・インタビュー調査については,現地ファシリテータの状況から,2018年度後半の実施に予定を変更した.
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Strategy for Future Research Activity |
・研究代表者(西)が,ワークショップでの研究対象場面である「てあわせ・のはら」の活動時には,ファシリテータではなく完全な参与観察者となるよう,現地の運営組織と調整を進める. ・現地ファシリテータが経験を重ね,自身の体験を言語化できる頃を見計らって,半構造化インタビュー調査を実施する. ・3名の研究者が現地ワークショップに参加して,体験を共有しながら「共創するファシリテーション」の議論を深め,モデル化に向かう.
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Causes of Carryover |
理由:石巻での共創表現ワークショップの実施および旅費に関して,平成29年度の挑戦的萌芽研究との費用分担が可能であったため. 使用計画:ワークショップの継続実施とその旅費,共創表現に関する学会や研究会への参加旅費,研究者間での討議の回数を増やし,その研究会費等に充当する.
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