2018 Fiscal Year Research-status Report
「共創するファシリテーション」理論の構築と現場への活用
| Project/Area Number |
17K01645
|
|---|
| Research Institution | Toyo Eiwa University |
|---|
Principal Investigator |
西 洋子 東洋英和女学院大学, 人間科学部, 教授 (40190863)
|
|---|
| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三輪 敬之 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (10103615)
郡司 幸夫 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40192570)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
| Keywords | 共創 / ファシリテーション / 身体表現 / ワークショップ / 被災地 / 発達障害 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
①身体での共創表現ワークショップ「てあわせ」の実施：２０１８年度は当初の予定通り,東日本大震災の被災地である宮城県石巻市・東松島市で，被災した発達障害児・者とその家族等が参加する身体での共創表現ワークショップ「てあわせ」を年間１０回実施した．
②新しい表現ワークショップの実現：震災以降継続している①のワークショップのほかに，現地メンバーがファシリテータとなって外部団体との交流ワークショップを行う機会が，年間５回もたれた．ここでは，発達障害児・者等を含む現地メンバーがファシリテータの役割を担った．加えて，数名の現地メンバー(主に保護者）が，地域の生活介護施設で新たな共創表現ワークショップをはじめるといった，予定にはなかった新しい実践が行われた．
③「共創するファシリテーション」のモデル作成：このような実践現場の展開から，「共創するファシリテーション」においては，既存のワークショップが恒常的なファシリテータ育成の場として機能していると考察される．したがって，本研究の目的である「共創するファシリテーション」のモデル作成に際しては，これまでのワークショップの継続での表現の体験やそこでの多様な関係性の構築が，社会へ拡大・深化するオープンエンドでダイナミカルなモデルを考えることが重要であることを掴むことができた．
④参加者の意識の変容：他の団体との交流や，社会的広がりに伴う新たなファシリテーションの経験をもつことで，①のワークショップそのものへの参加の意識にも変容がみられることが，参加形態の実際や現場での討議内容の検討から明らかとなった．
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
①被災地での身体での共創表現ワークショップ「てあわせ」は，現地運営委員会の主体的な運営のもと，予定通り確実に実施されている．
②継続実施しているワークショップの現場は，共創表現の場であると同時に，「共創するファシリテーション」を目指すファシリテータ育成の場へと変容していることが新たに発見された．
③上記②より，現地ではワークショップの現場が広がり，外部団体との交流の機会が積極的につくられている．さらに，現地メンバーがファシリテータとなることで，当初は予定していなかった新たな表現ワークショップが企画・実施される展開が生じており，「共創するファシリテーション」のモデル検討に大きな示唆を与えている．
|
| Strategy for Future Research Activity |
新たな展開として生じている，現地でのオープンエンドな取り組みの推移を追いながら，こうした変容を生みだす要因について，現地の運営委員会での討議の実際や記録，個人へのインタビュー調査の結果等の複合的な視点から検討し，本研究の目的である「共創するファシリテーション」のモデル考案へとつなげていきたい．
|
| Causes of Carryover |
理由：初年度のワークショップ実施費用と旅費の一部に関して，平成29年度の挑戦的萌芽研究との費用分担が可能であったため．
使用計画：現地での新しい実践の展開を受け，現場視察および議論の記録やインタビュー調査を重ねるための費用に充当する．また，最終年度として，研究者間での討議回数を増やすための研究会運営費，および学会等で発表するための学会参加費・旅費，論文投稿料等に充当する計画である．
|
