2020 Fiscal Year Annual Research Report
Clinical philosophy of the Olympic Games: Towards a sustainable Olympic Games from an anthropological value perspective
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17K01692
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Research Institution | Nippon Sport Science University |
Principal Investigator |
関根 正美 日本体育大学, 体育学部, 教授 (50294393)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多元的生 / キャリア教育 / 批判的視点 |
Outline of Annual Research Achievements |
「より人間的な」オリンピックという観点から、2020年東京大会の評価を踏まえてドーピングと商業主義についての考察を行う予定であったがさらに1年の延期となってしまった。東京大会については先行き不透明であることから、2020年度を最終年度とする。 ドーピングについては薬物ドーピングに加え、遺伝子ドーピングを予想に加えてオリンピック存続のための思想的基盤を明らかにした。これまでの薬物をはじめとする化学的手法のドーピングにおいては選手の健康という医学的理由により、ドーピングから選手を守る方法が有効と見なされてきた、そこに遺伝子ドーピングの危機を加え、「より人間的な」オリンピックのための考察を行った。それが、ハーバーマス、ガダマー、サンデル、レンクらの所論より導き出された。薬物を中心とするドーピングの破壊は競技の公正さと同時に選手の人生にまで及んだ。遺伝子ドーピングにおいてもそれが予想される。オリンピックにおけるドーピング防止教育は身体的健康のみならず、「善く美しく生きる」「多元的生」の観点から必要である。それは、選手のキャリア教育と結合することで臨床的効果を持つ事が期待される。 また、2020年の開催に向けたオリンピック教育の観点から、ドーピング問題への検討を行った。OVEPとはIOCが作成した教育プログラムであり、オリンピズムを中心とした青少年の教育価値の実現に向けて作成されたオリンピック教育のテキストである。検討の結果、学校教育よりも市民教育、生涯学習として使用されることの価値と有効性があきらかとなった。また、オリンピック教育を担う関係者における批判的視点の欠如が明らかになった。教育機関などの関係者の商業主義オリンピックへの無批判的態度の改革に、オリンピック病理改善への鍵がある。 最終年に新型コロナ感染症の影響により、当初の計画通りに研究が進まなかったことは大変遺憾である。
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Research Products
(3 results)