2020 Fiscal Year Research-status Report
勝利達成にむけた精神的側面の検討‐全日本柔道強化選手40年間の心理データから‐
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17K01706
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Research Institution | Osaka University of Commerce |
Principal Investigator |
東山 明子 大阪商業大学, 公共学部, 教授 (20228711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 美久 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (00532839)
齋藤 正俊 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 教授 (40619540)
保井 智香子 立命館大学, 食マネジメント学部, 准教授 (40632998)
横山 喬之 摂南大学, スポーツ振興センター, 講師 (50585263)
内村 直也 大阪産業大学, スポーツ健康学部, 准教授 (70529990)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 柔道 / オリンピック / メダリスト / 内田クレペリン法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度の研究は、オリンピック代表選手に絞り、内田クレペリン検査結果の分析を行った。全柔連強化選手の内田クレペリン法結果データ延べ5133枚から、オリンピック出場選手の最高作業量段階であるデータを抽出し、さらにその中で精神健康度が最も高いデータを選び出して分析対象とした。 人柄類型は全人柄型が認められる中で、3-1d型と8型が大半を占め、精神健康度水準も高く、その傾向は特に女子に顕著であった。作業段階は一般成人レベルが最も多く、次いで一般成人超レベルであったが、2名のみ低心的エネルギー水準もいた。曲線傾向は上昇曲線が最も多く、一般成人とは異なる上昇曲線優位が確認された。 全日本柔道強化指定選手2003名中オリンピック出場選手は84名であり、その中の72.6%がメダル獲得していた。金メダル獲得の30名の内、8型はメダル23個、76.7%の高率を示した。精神健康度は競技成績に関係なく高度と中上度が89.3%を占めた。 作業段階を戦績との関係で詳細に分析すると、「優勝」「2位3位」「5位以下」の間に作業段階の有意な違いは見られなかった。戦績に関係なく、オリンピックという国際的な最高の競技場面のためには、高い心的エネルギー水準を備えることが優位であることが明らかとなった。また、曲線傾向では、メダル獲得者は非メダル獲得者と比較して上昇曲線が2倍以上見られ、意欲や勢いや粘りに繋がる上昇曲線優位が示唆されたが、各順位(戦績)間の有意差は不十分であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オリンピック代表選手の内田クレペリン法データの分析まで実施し、研究発表も行えた。さらに連覇者についての詳細な分析に入っており、概ね順調に進展してきている。コロナ禍による研究期間延長が認められ、2021年度半ばには、ほぼ研究がまとめられるところまで来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は世界選手権出場選手のデータを分析し、2020年度に分析したオリンピック出場選手のデータと比較検討する。また、オリンピック連覇者は日本選手では6名おり、その6名についてメンタルサポートを担当した船越正康氏に依頼して人柄を記述してもらい、全柔連強化選手であった時の内田クレペリン法データとの関連を検討する。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナ禍による授業形態の急な変更のため、その対応に多くの時間を費やし、かつ年度途中まで大学は休業状態となり大学敷地立入制限等により、研究を進めることが困難であったことに加え、各研究者間での研究打ち合わせも勤務校業務対応でできにくい状況であった。その中でもオリンピック選手に絞った研究分析は行ったのであるが、当初の計画全部が終了できたわけではないことから、次年度使用額が生じた。 2021年度は研究をまとめて、その集大成として出版予定である、また、日本武道学会にて研究成果の発表を行う。次年度使用額はそれらに充てる予定である。
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Research Products
(4 results)