2018 Fiscal Year Research-status Report
シンクロナイズドスイミングにおけるリズム能力に関する研究
Project/Area Number |
17K01716
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
本間 三和子 筑波大学, 体育系, 教授 (80241800)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | アーティスティックスイミング / シンクロナイズドスイミング / 感覚運動同期 / 四肢間協調能力 / タッピング動作 |
Outline of Annual Research Achievements |
全国大会出場レベルから日本代表レベルのシンクロ選手8名および水球選手8名を対象に,陸上でのタッピング動作を用いて,シンクロ選手の感覚運動同期と肢間協調能力の特徴を検討した.試技は指タッピング,足タッピング及びその両方の課題を陸上にて実施した. その結果,感覚運動同期についてメトロノームのビートと異なったリズムでタッピングを行う2試技では, 水球選手に比べシンクロ選手が有意に高い達成率を示し,感覚運動同期能力が高かった.一方,メトロノームのビートに合わせるタッピング試技において競技間の差が見られなかったことから, 兼ね備えている個人のリズム能力は大差がないと考えられた. 肢間協調について手と足を同時のタイミングでタッピングする試技では, シンクロ選手と水球選手に差は認められなかった. しかしながら, 手と足で別々のリズムをタッピングする2試技では, 双方においてシンクロ選手の方が有意に高い達成率を示した. このことから,シンクロ選手は水球選手よりも, 引き込み現象が起こりづらく肢間協調の制御能力が高い可能性が示唆された. シンクロと水球どちらの競技においても水上または水中で上肢と下肢がそれぞれの独立したリズムを保っている. にもかかわらず,メトロノームのビートと異なったリズムでのタッピングや手と足の別々のリズムでのタッピングにおいて,シンクロ選手の感覚運動同期能力および肢間協調の制御能力が高かったのは,シンクロ選手が音楽という耳からの感覚刺激に動きのタイミングを合わせるトレーニングを日常的に積んでおり,音楽やリズムへの対応力が優れているからだと考えられる.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画どおりに課題の実験を終え,一定の研究成果を収めることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2018年度の研究成果の論文投稿および研究発表を行うとともに,次の研究課題の実験を進める。 シンクロナイズド(アーティスティック)スイミングは音楽に同期する水上の動きを支持するために水中では推進技術が用いられている. 通常,泳動作,走動作などのヒトの動きは,肢間協調と呼ばれる一つの肢から他の肢へ連動して反応を起こす反射性の働きがあるが,シンクロにおいては,経験上,水中の肢の動きは水上の演技と同じリズムでは動いていない.つまり,水上の肢の動きのリズムが変化しても,水中の肢の動きは個別のリズムを保持していると考えられる.言い換えれば,シンクロ選手は上肢―下肢間に引き込み現象が起こりづらい特徴があると仮説される. そこで,シンクロ選手およびシンクロ選手以外のスポーツ選手を対象に,水中での立ち泳ぎ動作とリズムを変えた腕の動きを行った際の感覚運動同期と肢間協調能力を分析する。この研究課題で得た研究成果についても学会での研究発表と論文投稿を進める。
|
Causes of Carryover |
映像分析システムを購入予定であったが,所属研究室が新たに設置したモーションキャプチャシステムを使用できたため,支出が軽減された。また,研究分野の国際学会が日本で開催されたため,支出がおさえられた。2019年度は複数の国際学会にて積極的に学会発表を行い,研究成果の公表に努める。また,実験に必要な備品を追加購入する予定である。
|
Research Products
(2 results)