2020 Fiscal Year Research-status Report
筋サテライト細胞に対する細胞外マトリックスニッチの構築
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17K01753
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
赤澤 智宏 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (80291160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 喜晴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (30596565)
馬渕 洋 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (50424172)
須藤 絵里子グレース 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, プロジェクト助教 (60748367)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 筋サテライト細胞 / 細胞外マトリックス / 組織幹細胞 / 未分化維持 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢化社会を迎えた我が国においては、高齢者が筋骨格系の疾患に罹患する確率は極めて高く、骨格筋の再生・機能の維持は非常に重要な課題である。骨格筋幹細胞は in vitro で培養することで筋繊維芽細胞に分化してしまい、細胞移植効率が著しく低下してしまうことが知られており、骨格筋再生治療の実現における大きな障壁となっている。本研究では、筋サテライト細胞を効率良く生体内に移植する方法を開発し、筋サテライト細胞の移植効果の有効性を検証することを目的とする。生体内での骨格筋環境を模倣した培養方法「細胞外マトリックスニッチ」の構築を行い、生体に近い状態での筋サテライト細胞の挙動や組織再 生構築能力の評価を解析する。 マウス骨格筋組織からの筋サテライト細胞の分離について、当研究室で既に確立した手技を持っており、安定した細胞分離が可能である(Ishii et al., Stem Cells, 2015)。その技術を用いて、ウシ・ブタ・ヒツジの筋組織から筋サテライト細胞を分離し、細胞外基質をコーティングした培養ディッシュに播種した後、未分化状態を維持したまま培養できるかどうかの解析を行った。既に研究代表者らは複数の細胞外マトリックスカクテルの適正なコーティング方法・濃度条件について検討済みであるが、本実験ではさらに、別の細胞外基質をコーティングについて検討を行なった。コーティング無しの状態で培養するコントロールと比較し、本研究で見出した細胞外基質をコーティングをした場合は、顕著に細胞増殖を促進することがわかった。現在得られたデータを元に、専門誌への論文投稿を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以前に得られた知見をさらに異種へ展開し、新規のデータを得ることができた。ウシ・ブタ・ヒツジの筋組織から得られる筋サテライト細胞を効率的に増幅させる細胞外基質をコーティングについては、特許申請も行うことができた。以上のことから、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初予定していた生体内での骨格筋環境を模倣した培養方法「細胞外マトリックスニッチ」の構築についての実験はほぼ完了している。ウシ・ブタ・ヒツジの筋組織における筋サテライト細胞を用いた研究については、立体的な培養方法を用いてより詳細に性状解析を進めているところである。引き続き研究を行い、専門誌への論文投稿を進める予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染症の実験制限により、当初予定していた実験および論文投稿のタイミングが遅延したため、次年度使用額が生じた。当初予定していた通り、細胞培養試薬の購入および論文執筆・論文出版料に使用する予定である。
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