2018 Fiscal Year Research-status Report
精神作業による心血管系負担を軽減するための休息の仕方に関する生理心理学的検討
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17K01814
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Research Institution | National Institute of Occupational Safety and Health,Japan |
Principal Investigator |
劉 欣欣 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 産業疫学研究グループ, 上席研究員 (10582570)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩切 一幸 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 産業疫学研究グループ, 部長 (10316135)
外山 みどり 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 研究推進・国際センター, 首席研究員 (30332399)
土屋 政雄 独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所, 客員研究員 (90582560) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 休息の取り方 / 心血管系反応 / 精神作業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,精神作業中の休息の効果に着目し,1) 休息の過ごし方:ポジティブ感情を喚起するような刺激呈示やマインドフルネスの導入,2) 休息のタイミング:小まめにとるなど,タイミングを変えて検討,3) 精神作業の種類:異なる精神作業下における休息が心血管系反応に及ぼす影響を生理心理学的に検討する.それにより,適切な休息を取ることが過剰な心血管系反応を抑制し,長期的に精神作業従事者の心血管系疾病,さらには過労死リスクの軽減につながるエヴィデンスを提供する. 研究計画の2年目となる本年度は2) 休息のタイミングについて検討した.具体的に,48分の作業と12分の休息を1セットとし,それを2回繰り返す長めの休息条件,および24分の作業に6分の休息を1セットとし,それを4回繰り返すこまめの休息条件を比較した.実験では,前年度作成したカラーワード課題を用いた.この課題では,コンピュータ画面上に色を意味する文字がその意味とは異なる色で提示され,被験者はその文字の提示色を6つの選択肢から選択した.心血管系の指標は,収縮期血圧,拡張期血圧,平均動脈血圧,心拍数,一回拍出量,心拍出量,総末梢血管抵抗を,連続血行動態測定装置を用いて非侵襲的に測定した.作業パフォーマンスとして課題における反応時間とエラー回数を記録した.結果として,長めの休息条件において,こまめの休息条件に比べ,作業中の血圧と総末梢血管の反応が小さかった.課題の反応時間およびエラー率は,条件間に差が認められなかった.先行研究では,こまめに休息を取ることは作業のパフォーマンスの維持に有用と報告されている.本研究では,作業パフォーマンスの差が認められなかったが,精神作業における心血管系負担を軽減するには,こまめの休息と比べて,長めの休息の方が望ましかった.これらの結果について,日本人間工学会関東支部第48回大会にて発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は研究計画の通り,休息のタイミングについて検討した.一方,休息の過ごし方に関する実験はやや遅れているが,実験の倫理審査を終え,次年度速やかに実験を実施する予定である.次年度用の作業課題は,昨年度に前倒しで作成しており,全体的に進捗が遅れないよう努力している.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の3年目となる2019年度は,まず遅れている休息の過ごし方の影響についての実験の遅延分に取り組む。その後,異なる精神作業下における休息が心血管系反応に及ぼす影響を検討する実験を実施する予定である.
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Causes of Carryover |
分担研究者の転職によって一部の実験は遅れている.進捗が遅れている実験は次年度で実施する予定であるため,関連する予算は次年度に繰り越すこととなった。
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