2021 Fiscal Year Research-status Report
Are hertigate designations by the UN effective for biodiversity conservation at local level? Challenges for multi-scale colloboration and analysis of strategy by municipalities
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17K02105
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
香坂 玲 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50509338)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内山 愉太 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 助教 (00710766)
徳山 美津恵 関西大学, 総合情報学部, 教授 (80363951)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 世界農業遺産 / 地理的表示 / 地域団体商標 / 地域認定 / 産品認証 / 伝統的産品 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、国内の世界農業遺産の分析および、能登地域と比較対象地域(国東)での調査等を中心に行なった。気候変動・獣害・担い手の縮退を背景に、能登地域と国東地域は類似性があるが、例えば棚田等の農地の林地化に関して特徴は異なる。生産者への質問票調査や統計データ、航空写真等を分析し、生産面から否定的な評価の傾向がある棚田・畑の林地化が、実際には薪炭材、昆虫採集等の教育の機会提供という文化的サービスの役割を持つという側面も示唆された。結果は国際学術誌(Forest Ecology and Management)において論文(Kohsaka et al., 2021)として採択された。なお、国東地域の研究は大分県の調査研究助成事業にも活用した。加速する気候変動とその適応の観点の重要度も増しており、キノコ生産等の影響も国際学術誌に投稿し、採択されている。 社会還元として、環境省(中部地方)の気候変動適応策に関する事業の分科会の座長および環境省の次期生物多様性国家戦略研究会メンバー、日本学術振興会の連携会員(環境学)として、自治体関係者、市民社会へ継続的に発信している。同時に国際のプロセス(生物多様性のIPBES等)への貢献も行っている。 国内では森林環境譲与税は、そのような観点からも活用されており、関連する取り組みについて調査を行った結果を取りまとめた論文が国内外の学術誌で採択されている。他の国際学術誌での論文の発表等も行い、最終的に15編の査読付き論文を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
成果発信や論文出版等はおおむね順調に進展している。学術的に、能登と国東の比較論文および気候変動適応の観点を含めた論文は、延長期間に取りまとめることができた主要な成果である。特に適応策、森林環境譲与税等については、行政、事業者等からフィードバックを得て進める考察においても部分的な進捗を得た。関係する自治体との連絡調整等は継続し、適応策のプラットフォーム最終的な提言の形成を進めている。補足的な調査等が必要な箇所があり、再度研究期間の延長を行い、計画を完遂させる予定である。 新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受けたが、フェイスシールド・マスク等の対策をほどこし、現地調査も一部実施した。オンラインによる調査では、常に技術的な問題があるが、記録方法や自動認識など問題を乗り越える手法も提案されており、引き続き、オンラインと現地の調査を併用する形で研究を遂行する。
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Strategy for Future Research Activity |
能登・国東など認定地域間比較の論文や気候変動適応に関する論文等の成果を各地域に還元するとともに、普遍的な要素は他地域で横展開する。同時に、より広域な認定活用の戦略への提言の取りまとめを進める。また適応策、生物多様性戦略、森林環境譲与税といった複数の政策・議論の組み合わせや相乗効果を検証する予定である。 今後も現地調査とオンラインでの調査も併用しつつ調査や成果発信を行う。新型コロナウィルスの影響により、観光分野は激変した。観光と保全に関わる世界農業遺産等の地域認定も例外ではなく、期待や管理のあり方も変化している状況を考慮しつつ、学術的な貢献と社会的、政策的に有用な提言の取りまとめを行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け、調査項目について延期している内容が存在している。引き続き、オンラインと現地の調査を併用する形で研究を遂行する。
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Remarks |
成果については研究室HPにて随時告知
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Research Products
(57 results)