2017 Fiscal Year Research-status Report
共生の技法としてのユニバーサルツーリズムの理論と実践
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17K02106
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石塚 裕子 大阪大学, 工学研究科, 特任助教(常勤) (80750447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
廣瀬 浩二郎 国立民族学博物館, グローバル現象研究部, 准教授 (20342644)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | インクルーシブ / 観光バリアフリー / 合理的配慮 / ツーリズム / Accessible Tourism |
Outline of Annual Research Achievements |
関連分野の理論と研究蓄積の整理を行った。主に障害学における「障害」の概念、建築・土木工学における当事者参加のユニバーサルデザインの実践理論等の既往研究の変遷を整理した。また、書籍等から我が国の障がい者運動経緯と制度の変遷についても把握を行った。障害者運動の経緯から交通分野における当事者参加の経験は蓄積され、一部では当事者提案も生まれつつあるが、介護、医療分野や観光分野では十分な当事者参加は到達できておらず、交通分野での蓄積が活かされていないことが明らかになった。 事例研究としては、沖縄バリアフリーツアーセンターの災害時要援護者への取り組みの調査を行い、観光ホテルにおける災害時要援護者対応の実態についてアンケート調査を実施した。 障害学におけるインクルーシブの概念や課題、社会学における観光の理論などを援用し、ユニバーサル・ツーリズムを支える要素について概念整理を行った。建築・土木工学分野で取り組まれている環境ユニバーサルデザインによる不特定多数共通の対応と、障害学に基づく合理的な配慮に加え、健常者による欲望に価値付けされた観光の魅力を覆すような、新たな観光地の魅力発見や楽しみ方の提案などにつながる、インクルーシブ文化の発信が不可欠であると定義し学会発表を行った。障害学では当事者研究が盛んであり、当事者研究の手法を援用することでユニバーサル・ツーリズムによるインクルーシブ文化の発信につながるのではないかという知見を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
既往研究の分析が不十分で有識者ヒアリングを実施することができなかった。また、フィールドでの協力が十分に得られなかったことから、実証研究を進めることができなかったためやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度実施できなかった有識者ヒアリングを行うとともに、実証研究及び海外事例調査の準備を進める。また、Accessible Tourismのセッションを設けている国際会議(Transed2018)が台湾で開催されるため、これまでの研究成果を報告するとともに、情報収集を行う予定である。
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Causes of Carryover |
フィールドでの実証研究(福島県いわき市)および識者ヒアリングが実施できなかったため、旅費および謝金に残額が生じた。当該内容については平成30年度に実施する予定であり、フィールド調査を充実させるためモバイル機器を購入し調査の円滑化を図る予定である。それ以外の研究活動は予定どおり進めていく。
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