2018 Fiscal Year Research-status Report
知識労働の発展と観光行動の高度化との相互関係に関する日英比較研究
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17K02109
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
山田 良治 和歌山大学, 国際観光学研究センター, 特任教授 (00135831)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀田 祐三子 和歌山大学, 観光学部, 教授 (40346250)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 知識労働 / サービス労働 / 精神的労働 / 余暇活動 / 観光 |
Outline of Annual Research Achievements |
「知識労働」の本質をサービス労働および精神的労働という2種類のカテゴリーにおいて掘り下げる一方で、観光行動を含む余暇活動の変貌を、それらとの関連において理論的・実証的な研究の両面で進化させた。すなわち、人間の生命活動を「対自的な合目的関係運動」と把握した上で、そうした実体が労働と余暇活動を貫く普遍性を持っていること、他方で資本主義社会では両者が分離・対立する側面を持つことを理論的に解明した。 サービス労働の概念について、とくに注目した点は、それが生産と消費の同時的一体性という特質を持つこと、また人間を対象とする場合、当該労働が対象の直接的な加工ではなく、育成・支援労働という性格を持つこと等である。一方、その過程が精神的労働の発展という内実を持ってくることから、コミュニケーション的行為の意義をや、いわゆる感情労働等の問題を認識した。また、精神的労働の発揮が、サービス労働という形態をとる場合とは異なり、物質的生産物に対象化される場合の問題の重要性に関して、情報生産物(ITソフトウェア等)の生産の発展に象徴される諸現象を認識するため、「精神的財貨」という概念を提唱した。 さらに、以上の理論的研究を、「企業中心社会」とも揶揄されてきた戦後の日本社会の発展過程に適用し、その妥当性を検証した。 以上の研究の成果は、『知識労働と余暇活動』という題名により書籍としてとりまとめ、日本経済評論社より刊行した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
書籍の出版という形で研究成果を公表できたことは、内容を含めて当初の計画を上回るものであるが、一方で、日英比較研究という観点が十分に反映されるところまで到達していないという課題を残している。
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Strategy for Future Research Activity |
とくに日英比較研究という観点に留意してさらに研究を深化させ、その成果を公表する。
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Causes of Carryover |
英語への翻訳経費および海外調査のための出張旅費支出を計画していたが、支出のタイミングが今年度にずれこんだため。今年度の予定交付額と合算した場合でも、金額的にみて両方を実現することは困難とも予想されるが、その場合は主としていずれか一方の支出に充当することを中心に使用計画を立て実施していく予定。
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Research Products
(2 results)