2020 Fiscal Year Research-status Report
アフリカのエコリゾートによる地域貢献の可能性――タンザニア、モザンビークを事例に
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17K02126
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
中嶋 真美 玉川大学, 文学部, 教授 (80555409)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | エコリゾート / エコロッジ / タンザニア / よそ者 / 持続可能な観光 / エコツーリズム / 地域貢献 / NGO |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は環境配慮型観光ビジネスであるエコリゾート(ER)を取り上げ、ERによる環境配慮型観光の可能性と影響力について現地事例を用いて学際的視点から検証、考察するものである。主たる調査対象地(事例)は、豊富な自然資源を有することから複数のエコリゾートやエコロッジが存在するタンザニアとモザンビークとした。中でも、タンザニア・アルーシャ州およびモザンビーク・イニャンバネ州での取り組みを事例とし、外部と地域社会との協働に着目しつつ、研究を進めている。 本年度は、新型コロナウィルス感染症の拡大により上記における現地調査の実施が不可能となり、当初の研究計画を大幅に変更することとなった。具体的には、一切の現地調査を取りやめ、文献調査による基礎研究を中心とする形となったため、具体的事例や観光動向、各関連分野の既存研究の到達点確認に注力し、今後の研究基盤の構築に努めた。 【研究成果の意義・重要性】 タンザニアとモザンビークでの民間事例を分析するにあたり、今年度までの研究で指摘してきた「よそ者の他者性をどのように捉え地域改善に生かしていくのかについては複数事例を通じた検討の継続が必要」との考えをもとに、本年度はその前段階の基礎研究として、外部と地域社会との協働型アプローチである点を重視し、その他の地域での官民協働の事例の有無の確認や政府による支援などについての情報収集に終始した。現地調査による一次情報の収集が困難な状況が続く中ではあるが、実例を分析するのに不可欠な既存研究のレビューに注力できたことにより、次年度以降の研究の進展を考えるにあたり、基盤部分を厚くすることに貢献するものとなり、その意味で有意義であったと考えられる。 【成果の公表】なし
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度は、新型コロナウィルス感染症の拡大により上記における現地調査の実施が不可能となり、当初の予定を大幅に変更することとなった。 文献調査による基礎研究を中心とし、各関連分野の既存研究の到達点確認に努めた。調査対象地だけではなく、その他の地域での官民協働の事例の有無の確認や政府による支援などについての情報収集をし、また、現地において観光業に従事する関係者にオンライン上での聞き取り調査を行い、現地状況の把握に努めた。今年度は今後の研究における基盤部分の充実に努める結果となった利点はあるものの、研究計画内容とは全く異なる状況下にあり、研究期間全体としての研究達成度は当初の予定より遅れが見られる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、新型コロナウィルス感染症による世界規模での影響を受け、海外調査部分での進展を望むことができなかった。次年度に関しても海外現地での研究遂行の点で見通しが立たない状況は変わらない。既に2019年度にも調査地のサイクロン罹災により調査の実施を断念し研究期間の延長をしており、今年度は新型コロナウィルス禍により更なる延長を余儀なくされた。これらを受け、研究計画・内容を大幅に変更せざるを得ない状況にある。新型コロナウィルス感染症の影響の状況によるが、可能であれば、年度内に1回の現地調査を検討予定である。また、現地調査の有無にかかわらず、今年度の文献研究を整理し、年度内に成果発表(口頭及び学会誌投稿)を予定している。今後の見通しが立たない状況下ではあるが、今できる研究の進展に注力し、研究実施の円滑化を心掛けたい。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナウィルス感染症の拡大により、海外現地調査の実施が困難となった。また、コロナ禍による学務の突発的対応の必要性および業務量の急増により、当初の計画よりもエフォートを減少せざるを得ない状況にあった。その結果として、経費支出が減少した。 新型コロナウィルス感染症の収束状況によるが、2021年度は可能な限りにおいて1回の現地調査を検討したい。ただし、海外渡航が実施困難な場合は研究計画を変更し、国内研究活動を中心とする。その場合は、文献研究のための経費支出、国内出張費用、および研究環境の整備のための支出として、予算を執行する予定である。
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