2017 Fiscal Year Research-status Report
熊本地震における地域文化を活用した防災教育と観光振興による復興マネジメント
Project/Area Number |
17K02130
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
町田 怜子 東京農業大学, 地域環境科学部, 助教 (90724675)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 阿蘇 / 熊本地震 / 復興 / 観光 / 防災教育 / 伝承 / 地域コミュニティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、九州・熊本県阿蘇地域周辺を対象に、熊本地震からの復興プロセスのデータベース化と、先人が自然と共生してきた暮らしの知恵や地域文化を観光教育の素材や観光資源として評価した復興マネジメント手法を構築することを目的としている。 ①被害状況の把握と復興プロセスのデータベース化:熊本地震から1年が経過し、阿蘇地域の観光の現状把握と創造的復興の取組を考察した。その結果、阿蘇地域における観光客の推移は、熊本地震後からは増加傾向がみられるが、国内の観光客数は熊本地震前の増加水準には至っていなかった。一方で海外からの個人客数は増加しインバウンド需要が高まっていた。阿蘇地域の創造的復興は、熊本地震発生直後は、既存組織の活動領域を活かした緊急支援が行われた。そして、熊本地震発生から半年が経過すると、観光ツアーや防災活動等の復興活動へと展開していた。また、地域住民発案の創造的復興の取り組みが移住者のきっかけとなり、創造的復興が地域コミュニティ再生へと展開していた。 ②地域文化や伝承の調査:明治時代から現在までの地震、豪雨、噴火の災害履歴について文献調査を行った。また、阿蘇地域の自然気象・災害に関わる伝承を文献調査ならびにヒアリング調査した。文献調査の結果を基に、阿蘇市の小学校で防災教育プログラムを実施した。プログラムのテーマは「阿蘇の草原・火山・水からこれからの阿蘇の暮らしスタイル(防災)考えよう」とした。グループワークによる学習のふりかえりと発表を行った。グループワークにより抽出された文章をテキストマイニングの手法を用いて、単語(名詞、動詞、形容詞等)に分割し、各出現頻度を分析その出現数を分析した。その結果、子ども達は阿蘇地域の自然と共生してきた野焼き等の伝統的農地管理や、動物を指標とした自然気象や災害に関する伝承に強い関心を持つことを確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、行政、地域住民、各関係機関の協力のもと、順調に研究を遂行している。本研究の今年度の成果は、3つの研究論文として発表できた。今後も熊本地震復興のために研究に邁進したい。
|
Strategy for Future Research Activity |
①被害状況の把握と復興プロセスのデータベース化(平成30年度):引き続き、SNSからの情報発信の内容、観光による震災復興に関わった主体、組織、ネットワークを分析し、復興プロセスのデータベースを作成する。 ②地域文化や伝承の調査(平成30年度):今年度は環境教育プログラムとして、阿蘇の子ども達と一緒に、阿蘇の伝承を調査する予定である。 ③地域文化や伝承を防災教育や観光資源として発見する住民と専門家の協働型ワークショップ:ひらめきときめきサイエンスで、阿蘇の自然災害の特性と、熊本地震を乗り越えた自助の力、防災行動計画を環境教育プログラムとして実施する。
|
Causes of Carryover |
文献調査を引き続き継続するため書籍、コピー代などが必要となったため。
|
Research Products
(5 results)