2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02165
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
周藤 多紀 京都大学, 文学研究科, 准教授 (50571733)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 徳 / ディンスデールのヨハネス / トマス・アクィナス / アリストテレス / ニコマコス倫理学 / 十三世紀 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)セネカやキケロ、教父(アウグスティヌスなど)に負うところが大きかったと言われる十二世紀の徳論の理解を二次文献と原典をもとに深めた。また、ディンスデールのヨハネスの『倫理学注解』に影響を与えたと考えられる、アルベルトゥス・マグヌス、トマス・アクィナスの『倫理学注解』の関連箇所を読解した。 (2)ディンスデールのヨハネスの『倫理学注解』の第二巻は三つの写本に残っている。① Durham Cathedral Library, C.IV.20, ff.196vb-254vb. (ダラム司教座聖堂図書館所蔵)② Cambridge, Gonville and Caius 611/341, ff.146ra-181vb. (ケンブリッジ大学図書館所蔵)③ Oxford, Oriel 33, ff.339ra-382ra. (オックスフォード大学図書館所蔵)ディンスデールのヨハネスの『倫理学注解』の現存するこれら三つの写本の書写の作業を、マイクロフィルムからスキャンされた画像を基に行った。 (3) 上記の三つの写本のうち、マイクロフィルムには撮影されていない箇所が多い、ダラム司教座聖堂図書館所蔵の写本を閲覧し、ダラム写本の書写を完成させた。そして、ディンスデールのヨハネスのものと同時代に書かれた『倫理学注解』の写本の多くがパリのフランス国立図書館に所蔵されているため、画像資料や先行研究での不明点を確認するために、同図書館所蔵の写本も調査した。 (4)ディンスデールのヨハネスの『倫理学注解』の第一巻の暫定的校訂版を印刷し、同時代の『倫理学註解』を研究している海外の研究者に郵送して、意見交換をはかった。 (5)ディンスデールのヨハネスの『倫理学注解』の第五巻について国内研究会で発表し、第五巻の分析及び校訂版を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロフィルムからスキャンされた画像を基に、ディンスデールのヨハネスの『倫理学注解』の現存する三つの写本を書写する作業を終えることができた。そして、予定していたダラム司教座聖堂図書館の写本の閲覧を終え、ダラム写本に関する書写を完成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度中に、ケンブリッジ大学とオックスフォード大学所蔵の写本を閲覧して、ディンスデールのヨハネスの『倫理学注解』の書写をすべて完成させる。第二巻の校訂版の本文テキスト、及び校訂注(apparatus criticus)を完成させる。引き続き研究成果を公表し、主にE-メールにより海外の研究者とも研究交流を図る。
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Causes of Carryover |
専門書を購入できるほどの残高ではなかったため、次年度に使用することした。次年度の物品費(書籍代)の一部として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)