2018 Fiscal Year Research-status Report
再帰的な自由――論理学生成史の検討によるヘーゲル社会哲学の新解釈
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17K02172
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
竹島 あゆみ 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (70273951)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヘーゲル / 社会哲学 / 承認 / 和解 / 自由 / 社会 / 倫理 / 人格 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ヘーゲル哲学の生成史における承認と自由との発展のプロセスを追いつつ、同時に承認と対極をなす和解概念の展開も視野に入れてヘーゲルの社会哲学の全体像を明らかにし、そこから現代における新たな社会哲学の可能性を展望することである。具体的には、第一にヘーゲル固有の自由概念(共同的自由)の発展史、承認概念の発展史、和解概念の発展史を三つ組みの歴史として再解釈し、それをさらに論理学の生成史と関係づけて考察する。さらにこのようなヘーゲル社会哲学の再解釈により、現代の社会哲学の形成発展に資する。2018年度はこの目的に向けて、前年度に引き続きヘーゲルの社会哲学の発展史について研究を行うとともに、その成果を国際学会で発表し、また国際的な共同研究にも取り組んだ。具体的には、 ①国際ヘーゲル学会(International Hegel Congress)の第32回大会において研究成果を発表した。また、この成果は2019年度中に英語論文としてHegel-Jahrbuch 2018 (de Gruyter)に収録される予定である。 ”Recognition, Reconciliation, and Freedom in the Phenomenology of Spirit”, タンペレ大学、フィンランド、2018年6月8日。 ②また、現代における新たな社会哲学の可能性を展望するため、ヘーゲルにとどまらず、より広い視野でも承認・和解をめぐる社会哲学的問題をテーマとして国際的な共同研究を行い、海外からの研究者を招いて研究会を開催した。 “Person, Moral, and Society”, Michael Quante (University of Muenster), Lisa Schmidt (University of Muenster) 岡山大学、2018年9月25日。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度は、諸事情により本来2019年度に予定していた国際学会での成果発表及び研究交流、海外からの研究者の招聘と共同研究を前倒しで先に行うことになった。これらのプロジェクト自体は大きな成果を上げたものの、当初計画していた体系期講義録や手稿類についての調査を十分に行うことができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の研究実施計画 本年度は本研究課題を総括する年度と位置づけ、承認論をヘーゲル論理学の発展史の中に位置づけるとともに、新たな社会哲学を展望する。そのためヘーゲルの体系期講義録や手稿類を対象とした研究を行う。さらに得られた結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
当初計画していた体系期講義録や手稿類についての調査について次年度に延期することとなったため、それに当てる予定であった費用を次年度にまわすこととした。したがってこれについては2019年度分として請求した助成金と合わせ当該調査費用に当てることとする。
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Research Products
(5 results)