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2017 Fiscal Year Research-status Report

20世紀哲学における〈欲望〉概念の解明とその実践的意義についての考察

Research Project

Project/Area Number 17K02179
Research InstitutionMiyagi Gakuin Women's University

Principal Investigator

越門 勝彦  宮城学院女子大学, 学芸学部, 准教授 (80565391)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 竹内 聖一  立正大学, 文学部, 准教授 (00503864)
朝倉 友海  神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (30572226)
Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords欲望 / 行為者の主観性 / 道徳的価値 / 意味 / ジャン・ナベール
Outline of Annual Research Achievements

平成29年度は、仙台で二回、神戸と東京で各一回ずつの、計四回研究会を開催した。仙台での第一回研究会(6月)では、ドゥルーズ研究の最近の動向についてのリサーチ結果を報告し、第二回研究会(3月)では、朝倉が場所と出来事の存在論に関する報告を行った。神戸での研究会(11月)では、越門が20世紀フランス哲学における情感性の理論について報告した。東京での研究会(3月)では、越門が本研究の今後の見通しを述べた後、竹内が本研究に関わる範囲での分析哲学の研究動向を解説した。
論文・口頭発表の形で公開された研究実績は以下の通りである。
越門は、論文「「行為の内面」をめぐる二つの問い―行為者の主観性についての試論」を公刊し、「感情に含まれる価値認識―ジャン・ナベールの倫理学を手がかりに」と題する口頭発表を行った。後者は、ナベールの遺稿集『神の欲望』に取り組むための準備作業として位置づけられる。
竹内は、論文「アンスコムはデイヴィッドソンとどこで分かれたのか 論文「行為の一般性と個別性」を読む」で、行為論研究において最重要の哲学者であるアンスコムとデイヴィッドソンの比較研究を行った。行為の一般性と個別性という観点は、欲望の充足条件を考察するうえで不可欠のものであり、その点で、本研究にとって大きな意義をもっている。
朝倉は、論文二篇(“The theory of Difference in East Asia :Nishida Kitaro and MouZongsan”と「意味はいかに到来するか」)を公刊した。また、「スピノザ・ヘーゲル関係再考:数理思想的観点から」と題した口頭発表を行った。スピノザとヘーゲルはいずれも、大陸系哲学における欲望概念の変遷をたどるうえで必須の参照項となる。その点で、朝倉のこの研究成果は本研究課題にとって重要な意味を有する。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究はおおむね順調に進展していると評価できる。理由は以下の通りである。

越門の課題は、ナベールの『神の欲望』の読解と、それとの関連でレヴィナスの欲望概念分析することであった。今年度は、前者の準備作業としてナベールの『倫理のための要綱』を再読し、その価値理論の正確な理解に努めた。また、レヴィナスの『全体性と無限』の精読と資料作成を開始した。
竹内の課題は、フランクファートとブラットマンそれぞれの行為者論における欲望概念を明確にすることであった。今年度、この二人の哲学者を対象とした研究成果は出せなかった。だが、彼らがその行為者論の出発点に据えるアンスコムとデイヴィッドソンの研究を通じて、より厳密な読解を行うための準備を整えた。
朝倉の課題は、スピノザからの影響に注意しつつ、『アンチ・オイディプス』などに見られるドゥルーズの欲望概念を正確に把握することであった。今年度、ドゥルーズの欲望概念そのものを主題とする研究成果を論文の形で出すことはできなかったが、スピノザとヘーゲルの関係をテーマとする口頭発表を行った。ヘーゲルに関する研究は、平成31年度の研究課題を先取りするものとなっており、その点で研究の進捗に貢献している。

Strategy for Future Research Activity

三名が共通して取り組む文献として、ラッセル『心の分析』と、プラッツ『道徳的実在』を指定する。後者は、前者で提示された欲望の分析を含めて欲望をめぐる哲学的議論を幅広くフォローし、かつ緻密な批判的検討を加えている。この著作に取り組むことで、英語圏の欲望研究の大まかな全体像を把握すると同時に、専門分野の異なる三名のあいだで議論の共通の土台を築き、用語を共有することを目指す。9月か10月に研究会を開催して各自報告を行い、議論を交わす。
代表者の越門は、フランス哲学における欲望概念の研究も並行して進める。計画では、30年度はリクールとアンリのフロイト論を主要な研究対象とする予定であった。だが、研究の進展とともに、メーヌ・ド・ビランやラヴェッソンといった19世紀の哲学者の思想的源泉としての重要性が明らかになってきたため、そちらに軸足を移して考察を展開する。
竹内は感情(情動)の哲学における欲望の位置づけに注目し、朝倉はドゥルーズ哲学における欲望概念にそれぞれ注目して、研究を進める。

Causes of Carryover

東京在住の竹内が、仙台と神戸で開催した研究会に出席できず、交付金を旅費として使用する必要がなかったため。また、朝倉が物品費として使用した額が、申請額より9万円近く少なかったため。
翌年度、研究会にゲストスピーカーを招く費用などに当てる予定である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2018 2017

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 2 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] アンスコムはデイヴィッドソンとどこで分かれたのか 論文「行為の一般性と個別性」を読む2018

    • Author(s)
      竹内聖一
    • Journal Title

      『行為論研究』

      Volume: 4 Pages: 33-44

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] スピノザ・ヘーゲル関係再考:数理思想的観点から2017

    • Author(s)
      朝倉友海
    • Organizer
      京都ユダヤ思想学会
    • Invited
  • [Presentation] 田辺元の複素函数論の射程2017

    • Author(s)
      朝倉友海
    • Organizer
      RIMS共同研究「数学史の研究」京都大学・数理解析研究所
  • [Presentation] Sense and event in the logic of place2017

    • Author(s)
      朝倉友海
    • Organizer
      International Association of Japanese Philosophy
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 感情に含まれる価値認識―ジャン・ナベールの倫理学を手がかりに2017

    • Author(s)
      越門勝彦
    • Organizer
      東北哲学会
    • Invited
  • [Book] 哲学すること 松永澄夫への異議と答弁2017

    • Author(s)
      越門勝彦、朝倉友海、松永澄夫、木田直人、渡辺誠、伊多波宗周、伊東俊彦、大西克智、佐藤香織、高橋若木、手塚博、中真生、原一樹、吉田善章
    • Total Pages
      700
    • Publisher
      中央公論新社
    • ISBN
      4120050289

URL: 

Published: 2018-12-17  

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