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2020 Fiscal Year Research-status Report

20世紀哲学における〈欲望〉概念の解明とその実践的意義についての考察

Research Project

Project/Area Number 17K02179
Research InstitutionMeiji University

Principal Investigator

越門 勝彦  明治大学, 法学部, 専任准教授 (80565391)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 竹内 聖一  立正大学, 文学部, 准教授 (00503864)
朝倉 友海  東京大学, 教養学部, 准教授 (30572226)
Project Period (FY) 2017-04-01 – 2022-03-31
Keywords現代フランス哲学 / 欲望 / メーヌ・ド・ビラン / 東アジア哲学
Outline of Annual Research Achievements

代表者の越門は2020年7月に『現代フランス哲学入門』を公刊した。編著者として、「20世紀総論」、「メーヌ・ド・ビラン」、「ブロンデル」、「マルセル」、「ナベール」、「ミシェル・アンリ」の項目を執筆した。
これらのうち、「ビラン」項目では、欲望と意志の差異について論じており、これは、交付申請書の「研究目的」ならびに「研究実施計画」に掲げた課題(ⅰ)「〈欲望desire〉を「欲求need」、「意志will」、「感情emotion」と区別する」に取り組んだ成果と位置づけられる。また、「ブロンデル」項目では、英語圏の行為論とブロンデルの主著『行為』の体系的理論が補完し合う可能性に触れており、これは、「英語圏の分析哲学と現代フランス哲学という異なる研究領域を架橋する」という「研究目的」を達成したものとなっている。さらに、「ナベール」の項目では、「正当化の欲望」というナベール独自の概念が、悪の問題を考える上で有効であることを論じられているが、その内容は、規範の普遍妥当性に依拠する倫理学の限界と、宗教的次元の導入の必然性とを指摘するものである。これは、課題(ⅱ)「実践的諸領域(倫理、宗教、精神分析)を根拠づける〈欲望〉の諸性質を規定する」に対して直接的な回答となっている。「アンリ」項目では、「自己触発」の概念を分析し、感情の変化に固有の因果性について論じた。これは、上記の課題(ⅰ)に含まれる感情の特性を主題とした考察となっている。
協力者の朝倉は、『現代思想』2021年1月号所収の論考「東アジア哲学とは何か」において、香港や台湾での学問や言論の自由が政治的圧力によって危機にさらされている現状に触れている。これは、研究課題(ⅲ)「〈欲望〉と権力との複雑な関係性を明確にする」に対する一つの新たな視点を提供するものとなっている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

「研究実績の概要」で述べたように、交付申請書の「研究目的」ならびに「研究実施計画」で掲げた三つの課題のうち第一課題と第二課題は十分に果たされたと言える。ただし、第二課題で取り組むべき「実践的諸領域」の一つである精神分析に関しては、着手できずに終わった。また、第三課題については、朝倉の研究が一応の成果とはみなしうるものの、当初研究対象として想定していたドゥルーズとフーコーの権力論を主題的に扱うには至らなかった。以上の現状を鑑みて、「概ね順調に推移している」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

ビランにおける意志と欲望の区別を研究する過程で、意志や覚知aperceptionをめぐるビランの議論が、行為論、自己知論、認知科学や心理学など諸領域の問題の解明に重要な寄与をなしうる可能性に気づいた。新たな研究課題の設定も視野に入れつつ、今後はこの可能性の検証を中心に研究を進めてゆく予定である。「進捗状況」で確認した2020年度の未達成課題の後処理に時間を割くよりも、新たに見出した問題領域の開拓に努めたい。

Causes of Carryover

新型コロナ感染拡大への対応として緊急事態宣言が発令され、この影響で、研究報告のための出張をすべて中止せざるを得なかった。その結果、2020年度は旅費の支出がゼロとなり、必要と見込まれていた金額と実支出額との差額が生じた。

出張が可能になり次第、次年度使用額と2021年度助成金とを合わせて、主に旅費、物品費(特に英語、フランス語の研究書)として使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2020

All Presentation (1 results) (of which Invited: 1 results) Book (2 results)

  • [Presentation] 西田がいう論理とは何か2020

    • Author(s)
      朝倉 友海
    • Organizer
      哲学会大会シンポジウム
    • Invited
  • [Book] 現代フランス哲学入門2020

    • Author(s)
      越門 勝彦
    • Total Pages
      408
    • Publisher
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623084982
  • [Book] 世界哲学史8 現代 グローバル時代の知2020

    • Author(s)
      朝倉 友海
    • Total Pages
      301
    • Publisher
      筑摩書房
    • ISBN
      9784480072986

URL: 

Published: 2021-12-27  

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