2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02184
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
寺本 剛 中央大学, 理工学部, 准教授 (00707309)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 俊洋 崇城大学, 総合教育センター, 教授 (80645242)
齋藤 宜之 中央大学, 人文科学研究所, 客員研究員 (40816906)
竹中 真也 中央大学, 人文科学研究所, 客員研究員 (50816907)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 農業 / スマート農業 / 技術哲学 / 環境倫理学 / 食農倫理 / 専門知 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は以下の三つの研究活動を行い、成果を残した。 まず、先端農業技術を評価するための評価軸の検討を実施した。これについては、当初の計画に即して、主に寺本と鈴木が技術哲学と環境倫理学の観点から研究を遂行した。その研究成果は応用哲学会、3rd Dutch-Japanese Workshop on Philosophy of Technology、日本土壌肥料学会、日本動物実験代替法学会、科学技術社会論学会において発表され、技術哲学、環境倫理学およびSTSの専門家から有益な批判や示唆が得られた。なお、先端農業技術の評価に関わる理論的研究の一環として、最新の環境倫理学の動向の文献調査も実施した。これについては寺本、鈴木、竹中が取り組み、その成果は、雑誌『環境倫理』の特集に寄稿する形で発表された。 次に、ICT技術およびビッグデータと農業技術専門知の関係について考察した。これについては鈴木が分担し、技術哲学の観点から考察を行って、応用哲学会、ホワイトヘッドプロセス学会でその成果を発表した。 最後に、今年度に実施を予定していたフィールド調査を兵庫県豊岡市において行った。コウノトリが生息できるように自然環境に配慮しながら稲作を行うとともに、それをブランド化して商業的にも成功している当地の取り組みの実情について、市の職員やJAの職員、地元の農家の方々にお会いして、インタビューすることで情報収集を行った。また、「コウノトリを育む農法」においては雑草の繁茂を抑制するために田んぼの水位の調整が重要になるが、そのために水位をスマートフォンで確認する技術が試行されており、その現状についても現場を視察し、実際にその技術を試用した農家の方にインタビューをすることができた。この研究成果は次年度に国内外の学会において発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度には、フィールド調査を行い、先端農業技術の現状と今後について具体的な情報を収集すること、先端農業技術を評価するための評価軸の検討を技術哲学、環境倫理学の観点から行うこと、ICT技術およびビッグデータと農業技術専門知の関係について考察することを研究課題として設定した。全体としてこれらの課題に関連する研究は遅滞なく進捗しており、研究成果も各種学会で発表している。また、これに加えて、最新の環境倫理学の動向の文献調査も実施し、それを本研究の理論的基礎を固めるために利用することもできた。 これらの点から、本研究は全体として順調に進展していると言うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、平成29年度と30年度の研究の蓄積を各種学会で発表するとともに、論文として公表する。具体的には応用哲学会、SPT(Society for Philosophy and Technology)において研究発表を行うとともに、雑誌『環境倫理』に論文を掲載する予定である。 研究プロジェクトの総仕上げとして、平成29年度と30年度の調査と考察に基づいて、先端農業技術がこのまま発展・普及した場合に農業従事者、消費者、自然環境にどのような影響があるかを中心に分析する。その際に必要に応じて、フィールド調査やインタビューを行って情報を補う。問題点を取りまとめて、検討を加え、その後、研究会および各種学会等で技術哲学および環境倫理学の専門家からコメント、アドバイス、批判をあおぎ、それを踏まえた上で研究の具体的な成果を報告書にまとめ、公表をめざす。
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Causes of Carryover |
平成30年度には、各種学会への旅費、フィールド調査の旅費等で予算を使用したが、国際学会への参加がなかったことから予定よりも支出が抑えられた。ただ、翌年度にはアメリカのテキサスで開催される国際学会 Society for Philosophy and Technologyへの参加が決定しており、平成30年度の未使用学と翌年度分の請求額を合わせて、研究分担者および研究協力者への旅費として使用する予定である。
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