2020 Fiscal Year Research-status Report
A Comprehensive Study of Vasubandhu's Vyakhyayukti
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17K02224
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Research Institution | Otani University |
Principal Investigator |
上野 牧生 大谷大学, 文学部, 講師 (70460657)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀内 俊郎 東洋大学, 東洋学研究所, 客員研究員 (60600187)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヴァスバンドゥ / グナマティ / 徳慧 / 経典解釈 / 聖典論 |
Outline of Annual Research Achievements |
[研究目的]本研究は、5世紀頃のインド文化圏で活動した仏教僧ヴァスバンドゥ(世親)の著作である『釈軌論』を対象とした総合的研究である。『釈軌論』は説一切有部に伝承された経典解釈方法論を体系化した大著であり、5世紀までの北西インド仏教圏域における経典解釈方法論の集大成に位置づけられる重要文献のひとつである。 本研究の最終目標は、チベット訳『釈軌論』の批判的校訂テクストと、その邦語訳注という2つの基盤資料を完成させることである。 [研究実施状況]五ヵ年計画の第四年度にあたる2020年度は、研究計画に即して、『釈軌論』の全体にわたる暫定的テクストと下訳を完成させることができた。また、邦語訳注の作成に際して、諸多の新出サンスクリット仏教文献から、引用阿含および引用韻文を回収することができた。そのため、従来は未解明であった数多くの用例について、その出典を比定することができた。 [研究成果概要]2020年6月30日、『釈軌論注』第5章に引用される『八難経(八無暇有暇経)』のサンスクリット原文を新出資料から回収し、その翻刻・校訂テキスト・和訳を『仏教学セミナー』第111号にて公表した。2020年7月4日、『釈軌論』第5章に記された「説法者」についての研究発表を日本印度学仏教学会第71回学術大会(創価大学・オンラインリモート会議システムによる開催)にて行った。2021年3月25日、先の研究発表の内容を英語論文として『印度学仏教学研究』第69巻第3号にて公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のとおり、2020年度内に『釈軌論』の全体にわたる暫定テクストと下訳の2点を完成させることができた。そのため、研究期間内に研究計画を完遂する見通しが立ちつつある。以上の理由から、研究計画が「おおむね順調に進展している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も着実に『釈軌論』の解読作業を行い、校訂テクストの作成を行う。また、それに基づいた訳注研究も適宜、継続する予定である。さらに、『釈軌論』の 解読に資する関連文献の調査・発掘も継続し、国内外の最新の研究成果を取り入れていく。 その際、定期的に国内外の研究者と読み合わせを行ったり研究会などでの発表を行ったりすることにより、複数の研究者からのフィードバックを得て、テクスト校訂や訳注研究に反映させる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大による渡航制限のため、予定していた海外研究調査を実施し得なかったため。状況が改善され次第、研究計画のとおり渡航費として 使用する計画である。
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Research Products
(3 results)