2018 Fiscal Year Research-status Report
キリスト教の起源―初期キリスト教におけるマタイ福音書受容史から見た一断面
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17K02240
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Research Institution | Hiroshima Jogakuin University |
Principal Investigator |
澤村 雅史 広島女学院大学, 共通教育部門, 教授 (50549326)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Gospel of Matthew / Christology / lawlessness / anomia |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、当初の計画に基づき、また、前年度の研究実績(マタイ28:16-20を中心とした釈義的分析から、マタイ福音書の「キリスト論」について明らかにした)を踏まえ、二度にわたって国際学会での研究発表を行った。 2018年9月に行われたASIA-PACIFIC EARLY CHRISTIANITY STUDIES SOCIETY 12th Annual Conference(於 岡山大学)では、前年度に見出した知見を国際学会で問うために、議論をさらに精緻化して"The Christology in Matthew 28:16-20 -The Origin, Purpose and Effect of the Triadic Formula-"と題して発表を行ったが、聖書学分野のみならず、同学会の主軸である初期キリスト教研究(教父学)分野の研究者からも高い関心が寄せられ、意見交換を通して、本研究テーマにおいて「キリスト論」を指標として用いることの有効性について、確認することができた。 2018年10月に行われたThe 5th Conference of Asia-Pacific Liaison Committee Conference of Studiorum Novi Testamenti Societas(於 台湾・中原大学)では、本研究テーマにおけるもう一つの指標と目される「律法」の評価について、国際学会の場で新たな知見を得るべく、過去に行った関連テーマの研究を大幅に改稿し、"ANOMIA in Matthew: an exegetical analysis of its subject"と題して発表を行い、目的を達成した。発表内容については、University of Innsbruckから発行される、同学会のProceedingsに収録予定(2019年5月に入稿完了)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のとおり、当初計画における当該年度の研究目標については概ね達成することができた。研究の最終目的であるマタイ福音書受容史そのものについては、資料収集や他の研究者との意見交換を経て、研究発表の準備を進めている段階にある(詳細は次項を参照)。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度において見出した研究方法に沿って、マタイによる福音書の受容史を、すでに入手した資料や二次文献の整理と分析を行うとともに、写本や、使徒教父文書における引用といった一次資料の分析を通して明らかにすることを試みる。 また、最新の研究動向の把握や、見出した知見についての意見交換のため、国際学会(74th General Meeting of Studiorum Novi Testamenti Societas 於 Marburg)へ出席する。 これらを経て、2020年3月に行われる日本聖書学研究所の月例会にて研究発表を行う(当初計画の2019年9月・日本新約学会での発表から変更)。 次年度(2020年度)の当初計画に挙げているThe 6th Conference of Asia-Pacific Liaison Committee Conference of Studiorum Novi Testamenti Societasの日本開催については、広島での開催が認められ、事務局を引き受けている。その場において、本研究の成果を研究発表のかたちで公表することを当面の目標としたい。
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Causes of Carryover |
国際学会出張(とくに台湾)費用を、開催校のご配慮により非常に安価に抑えることができたことと、資料を吟味して収集していることにより、未使用分が生じた。 今年度(2019年度)の国際学会出張費および、継続している資料収集において使用する予定。
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Research Products
(2 results)