2019 Fiscal Year Research-status Report
キリスト教の起源―初期キリスト教におけるマタイ福音書受容史から見た一断面
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17K02240
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Research Institution | Hiroshima Jogakuin University |
Principal Investigator |
澤村 雅史 広島女学院大学, 共通教育部門, 教授 (50549326)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マタイによる福音書 / イグナティオスの手紙 / 使徒教父文書 / 受容史 / 初期キリスト教 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、国際学会(74th General Meeting of Studiorum Novi Testamenti Societas 於 Marburg)へ出席し、有益な情報交換を行うことができた。 その成果をもとに、当初の計画に基づき、また、前年度の研究実績を踏まえ、研究発表の準備を進めたが、新型コロナウイルス感染症に伴う学会の延期のため、予定していた研究発表を行うことはできなかった。一方で、計画していた研究内容そのものにおいては、大きな進展があった。 中でも、初期に成立した使徒教父文書のうち、第一クレメンスについては、本文の精査および二次文献との批判的対話から、マタイ福音書引用の可能性は低いことを結論づけた。 また、「イグナティオスの手紙」におけるマタイ福音書引用に関する考察については、同様の研究プロセスから、本研究の目的における主たる関心事である「キリスト教」の成立事情の解明につながる有益な知見が得られ、とくにfiscus Judaicus(ユダヤ金庫)をめぐる社会状況の再構成に基づく説明モデルを構築することができた。なお、これらの研究成果については、2020年9月以降に延期された日本聖書学研究所の例会(当初2020年3月に予定され、発表を計画していた)において研究発表の機会を約束されている。 また、昨年度の研究成果の一端である論文は、William Loader, Boris Repschinski, Eric Wong(eds.), Matthew, Paul, and Others: Asian Perspectives on New Testament Themes, innsbruck university press, 2019に収録ならびに刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究自体は順調に進み、発表の準備も計画どおりの進捗状況である。 しかし、コロナウイルス感染症という外的要因により、発表については滞っている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年9月以降に延期された日本聖書学研究所の例会において研究成果の発表を行う。 そこでの質疑を踏まえてさらに研究を進展させ、年度内に何らかの形で最終的な成果報告を行いたい。 当初そのために予定していたThe 6th Conference of Asia-Pacific Liaison Committee Conference of Studiorum Novi Testamenti Societas(於 広島)が中止となってしまったため、それにかわる国際的な成果発表の場を探す。
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Causes of Carryover |
購入書籍の納品スケジュールによるもの。
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Remarks |
当初2020年9月に予定していた国際学会の公式webサイト。 中止となってしまったが、参考までにご報告します。
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