2018 Fiscal Year Research-status Report
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17K02293
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
配川 美加 日本女子大学, 文学部, 研究員 (10787344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高桑 いづみ 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, 特任研究員 (60249919)
坂本 清恵 日本女子大学, 文学部, 教授 (50169588)
星野 厚子 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 無形文化遺産部, 客員研究員 (90727182)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 長唄 / 旋律 / アクセント / 英執着獅子 / 越後獅子 / 上方 |
Outline of Annual Research Achievements |
4月23日、日本女子大学で第1回研究会を行い、研究計画と予算を確認。5月14日、長唄笛方の福原洋子氏宅で「クルイ合方」など長唄囃子における笛の伝承について同氏の話を聴取。 5月24日・6月4日・18日、第2回~第4回研究会を行い、デジタル化音源(《英執着獅子》《越後獅子》など)について検討。大西秀紀氏から提供を受けた音源などを視聴。 7月5日、第5回研究会で高桑が長唄の「クルイ」について発表。7月8日、楽劇学会第26回大会で高桑が「長唄クルイ再考」として研究発表。 8月22日・10月4日、第6回・第7回研究会で一節切譜『糸竹五色貝』のうち《英執着獅子》と共通部分を持つ《相生獅子》の解読を行い、アクセントの分析。 10月31日・12月10日・1月15日・2月11日・25日、第8回~第12回研究会を行い、《越後獅子》の唄と三味線部分について、デジタル化音源を採譜した楽譜や小十郎譜を基にアクセントの分析。 3月4日・7日、文京区不忍通りふれあい会館において演奏の下合せと打合せ、3月9日・12日、日本女子大学で打合せや資料作成を行い、3月13日、日本女子大学文学部・文学研究科学術交流企画シンポジウム「長唄における獅子物 その二―英執着獅子と越後獅子」で今年度の研究成果を報告した。まず「講演1、英執着獅子と越後獅子の音楽」として曲の成立について上方で初演された先行曲との関わりを中心に配川が概説。「講演2、アクセントからみた英執着獅子と越後獅子」では、坂本が星野の弾き唄いを交えて唄・三味線におけるアクセントの分析結果を報告。「講演3、古今獅子物聴き比べ」として、配川が明治~昭和期の《越後獅子》を音源を使って聴き比べ、唄方のアクセントの違いなどを解説。最後に長唄《越後獅子》を星野らが「実演」として演奏した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は2017年度の研究成果を受け、長唄と能の関りについては、《英執着獅子》などの「クルイ合方」と能の囃子との関連性に高桑が新たな説を述べ、楽劇学会第26回大会で発表した。 また、長唄とアクセントの関りについては、長唄は東京アクセントを基準としている、またそのことに四世吉住小三郎が大きく関わっている、とする金田一春彦の説を、《英執着獅子》や《越後獅子》のアクセント分析により実証し、シンポジウムの形で発表した。 ただし、金田一春彦の言うアクセントは唄の部分で、三味線部分には上方アクセントも見られる。特に、上方で初演された曲を部分的に先行曲として取り入れたと考えられる《英執着獅子》の三味線に上方アクセントが残っていることもシンポジウムで明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
長唄の唄の部分には四世吉住小三郎らが東京アクセントを反映させたことが推測されるが、三味線の部分には上方アクセントが見られることも多い。 2019年度は、唄のアクセントが演奏家によってどの程度異なるのかを曲例を増やして考察する。 また、成立時の旋律を残すと推定される三味線部分のアクセントについては、上方の影響をほとんど受けていないと考えられる長唄《都風流》などを取り上げてアクセントの分析を行い、さらに考察を進めて行きたい。
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Causes of Carryover |
旅費について、2018年度は盛岡市における調査が日程の調整が難しいため叶わなかったが、2019年度は行う予定。 人件費・謝金について、2018年度は演奏家への聴取が日程の調整が難しいため十分にできなかったが、2019年度は演奏家から提携を求められたこともあり、数回にわたって行う予定。
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Research Products
(6 results)