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2018 Fiscal Year Research-status Report

A Study of Systematic Editting of the First Quarto of King Lear

Research Project

Project/Area Number 17K02495
Research InstitutionNiigata University

Principal Investigator

辻 照彦  新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (30197678)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2021-03-31
Keywordsリア王 / 第一・四つ折り本 / 第一・二つ折り本 / テクスト間の異同
Outline of Annual Research Achievements

平成30年度は『リア王』第一・四つ折り本に見られる編集・校訂の痕跡の一つとして、明らかに前後の文脈と矛盾した発言を削除したり訂正したりする傾向、つまり、不整合を可能な限り解消しようとする編集者の傾向を分析した。対象としたのは、例えば次のような箇所である。
(1)リーガン夫妻の旅について、第一・二つ折り本では夜を徹して移動したことが強調されている表現が、第一・四つ折り本では時間の表現が削除されている。(2)第一・二つ折り本では、リアがグロスター邸を出発する際に馬を使用したと説明されるが、第一・四つ折り本ではその表現がカットされている。(3)第一・二つ折り本ではエドマンドが指揮しているのが「イングランド軍」となっているのに対して、第一・四つ折り本では「ブリテン軍」となっている。(4)第一・二つ折り本では、第4幕第1場冒頭の独白で、エドガーは、最低の境遇にまで落ちぶれてしまった人間の逆説的な強さを語るが、第一・四つ折り本では、その中の嵐への言及が欠落している。
研究代表者は、いずれのケースも、第一・二つ折り本の表現がシェイクスピアのオリジナルであると考えられること。それらの表現には、前後の文脈や、他の台詞との矛盾点が含まれており、そのような現象はシェイクスピアの作品には比較的高い頻度で見られること。第一・四つ折り本に見られる、それらの矛盾点や不整合が解消された表現は、シェイクスピアの自筆原稿に編集者が加えた変更である可能性が高いこと。以上をシェイクスピアの他の戯曲に見られる特徴とも比較しながら論証した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的は、『リア王』の第一・四つ折り本と第一・二つ折り本のテクスト間に見られる異同を包括的に分析することにより、第一・四つ折り本のシステマチックな編集の全貌を明らかにしようとするものである。第一・四つ折り本の編集者的人物の特徴として、台詞の明らかな矛盾点や不整合をできる限り訂正しようとする傾向を確認することができたことは、今後、台詞の書き換えや移動といったより大胆な編集作業を分析する際の有用な基礎となる。

Strategy for Future Research Activity

平成31年度は、平成30年度に得られた成果をもとにして、『リア王』第一・四つ折り本に見られる編集の痕跡の分析を続ける。シェイクスピアの作品には文法的に非標準的使用が比較的頻繁に見られる。この点について、第一・四つ折り本の編集者的人物が、テクストにどのように介入しているかを分析する。

Causes of Carryover

次年度使用額が発生したのは、『リア王』のヴェアリオラム版の出版再延期をはじめ、購入を予定していた複数の新刊研究書の発行が数か月延期されたためである。発行され次第速やかに購入する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2019 2018

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 『リア王』第一・四つ折り本に見られる校訂の痕跡―不整合を解消する傾向2019

    • Author(s)
      辻照彦
    • Journal Title

      新潟大学経済論集

      Volume: 第106号 Pages: 177-193

    • Open Access
  • [Presentation] 『リア王』第一・四つ折り本に見られる同義語置換について2018

    • Author(s)
      辻照彦
    • Organizer
      第33回エリザベス朝研究会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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