2022 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the deepening of the haiku reception process in the Spanish-speaking world and the compilation of the saijiki
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17K02667
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
井尻 香代子 京都産業大学, 文化学部, 教授 (70232353)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 俳句受容 / 歳時記編纂 / 俳句・ハイクの形式 / 自然観 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題の最終年度のまとめとして、「(1)俳句受容プロセスの深化」及び「(2)歳時記編纂」を軸として、これまでの研究期間に実施した現地調査、オンライン調査、文献調査によって得られた資料を整理・分析した。 (1)については、これまでの日本の俳句・海外のハイクの定義を見直し、スペイン語圏を中心に海外における俳句受容の深まりを再検証する試みを進めた。検証にあたって、俳句・ハイクという文学ジャンルの特徴を、①形式(韻律、修辞)、②内容(季語、自然との関わり、写生)、③言語(俳諧性、日常性)、④作法(集団制作、作者/読者/批評家)という四つの側面に分けることにより、海外における日本の俳句理解及び外国語ハイク実作の深化を明確にすることを目指した。まず、①形式(韻律、修辞)について研究発表を行い、雑誌論文を公刊した。日本の俳句は、連歌・俳諧形成のプロセスにおいて探求された韻律形式と修辞技法が発句の中に折りたたまれて誕生した詩型であることが、スペイン語圏の俳句受容において理解され、詩型(5-7-5音節)においても修辞(取合せ・切字)においても実作・鑑賞に反映されていることを確認することができた。 (2)に関しては、スペイン及びアルゼンチンの各地域の「季節に関わる言葉」と「生活文化と季節との関わり」についてデータベース作成が進行中である。これらを統合するために作業中であるが、収集した資料のうち、宗教暦及び農事暦と関わる生活習慣や行事をめぐる分野をさらに掘り下げていきたいと考えている。次に公刊する論文で一区切りをつける予定であるが、今後も資料収集を続け、スペイン語圏の人々の自然観について考察を深めていく。
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Research Products
(2 results)