2020 Fiscal Year Research-status Report
自然災害避難呼びかけ文の効果的な言語的特徴の探求~より避難心理に訴えるには
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17K02686
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Research Institution | Gunma Prefectural Women's University |
Principal Investigator |
小笠原 奈保美 群馬県立女子大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (50630696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲村 美帆 群馬県立女子大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (50345419)
大藤 建太 会津大学, コンピュータ理工学部, 准教授 (80549303)
Ginsburg Jason 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (80571778)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 災害コミュニケーション / 避難心理 / 音声知覚 / 防災 |
Outline of Annual Research Achievements |
津波や洪水・土砂災害の被災地で被災者に対して実施したアンケート調査を行った先行研究26文献を精読し、メタ分析を行った。メタ分析の方法として、まずアンケート結果から避難心理に該当する項目を138件抽出した。避難の意思決定における3要素(危険認知、他者からの影響、避難行動の難易度)とそれぞれの要素の促進要因または抑制要因を決定し、138項目をそれぞれ該当する要因にグループ分けをした。これに基づいて避難の意思決定の心理モデルを構築した。また、今年度は避難呼びかけ文の音声知覚実験と防災に関するアンケート調査を同時に行った。音声知覚実験では、まず研究代表者が発話した洪水の避難呼びかけ文を録音し、暴風雨の音をノイズとして被せたものを刺激音として作成した。台風等の災害時に家の戸別受信器から自治体による避難指示を聞いているという想定に近い刺激音を提示することが目的である。コロナ禍のため、対面の実験実施が困難だったため、オンライン調査会社に実験とアンケートの実施を委託した。オンライン調査会社のモニター400名(男性200名、女性200名、それぞれ20代から60代まで)に刺激音を聞いてもらい、アナウンスされた内容についての理解度を測る質問に答えてもらった後に、防災知識や避難意思に関わるアンケートに回答してもらった。アンケートの回答の一部は先行研究のメタ分析をまとめた論文の中に補足データとして含むつもりである。また、音声知覚実験の結果は別の論文としてまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで録音音声に任意のS/N比でノイズを被せる方法をずっと探して、適する方法を見つけるのに時間がかかってしまった。しかし、この点は今年度すでに解決済みである。また、対面実験が難しい状況の中で実験を行う方法を模索したり、オンライン調査会社の選定や倫理審査の申請、費用の面での事務的手続き等がよくわからないまま右往左往したりして、調査を開始するまで時間がかかってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は研究の最終年度であるため、研究をまとめて論文の形で発表し、一定の区切りをつける予定である。具体的には、先行研究のメタ分析と避難心理モデル構築の論文を完成させ、学会誌に提出する。また、音声知覚実験のデータ分析を統計的手法を用いて行い、結果を論文の形にまとめて発表する。このデータ分析の結果を踏まえて新たな疑問点が発見できればそれを基にして追加実験・調査を行う。追加実験・調査は状況に応じて、対面またはオンラインの形式で行う。さらに、これまで収集してきた自治体による避難勧告や避難指示のデータを最新版にアップデートし、合わせて新たなデータを追加して言語学的分析を行う。
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Causes of Carryover |
当初は、調査会社に委託して、対面での音声知覚実験とアンケート調査の実施を予定していたところ見積額は1,000,000円程度となっていた。しかし、コロナ禍の状況で対面調査が不可能になり、オンライン調査に変更したところ、支出額が減少したため残額が次年度に繰り越されることになった。次年度の使用計画については、追加実験・調査が必要となった場合、その費用に充てる。
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