2022 Fiscal Year Annual Research Report
An phonological analysis of fluency disorders and its application.
Project/Area Number |
17K02696
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Research Institution | Hyogo University |
Principal Investigator |
氏平 明 兵庫大学, 付置研究所, 研究員 (10334012)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 発話の非流暢性 / 中国語の吃音 / 日本語の吃音 / 発話の非流暢性の引き金 / 音声の移行 / ピッチ変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度収集した中国語の吃音サンプルの435例を、発話の非流暢性の引き金の観点から分析した。これまでの研究から吃音は語句頭で生じ、その引き金を大きく分けると、音声の移行か強勢またはピッチ変化の関与であった。音声の移行は、語頭音節またはモーラ内かその境界で、異種間の音声(共鳴音と阻害音)の相互の移行が引き金となる。中国語なら語頭音節内が圧倒的多く、一部第1音節から第2音節への移行でも生じる。英語なら語頭音節内とその境界で、日本語なら語頭モーラ内か、その境界で引き金となる。強勢かピッチの変化の場合は,英語では語頭音節内のonsetとrimeの境界(faultline)が引き金となってonsetの繰り返しが生じる。中国語は第1音節の声調の生成未熟でその音節の繰り返しが生じるか、声調変化のシステムに追随できず、誤った声調を繰り返しす非流暢性が生じる。日本語はアクセント核の先読みで第1モーラを繰り返したりすることが観察されていた。 今回は中国語の吃音サンプル435例中、82%の357例が音声の移行で非流暢性を生じており、残りの18%がピッチ変化が引き金になっていた。これは日本吃音、英語吃音、朝鮮語吃音の非流暢性の引き金の生起率とほぼ一致する。ピッチの変化による引き金は、日本語と中国語で次のような共通点が見られた。名古屋方言の単語アクセントと複合語アクセントでオソ上がりが介在すると非流暢性が生じる。例えば「うみ(海)」HLが複合語の「うみれいかい(海例会)」になるとLLHLLLとなる。この複合語の「うみ」LLを単語の「うみ」HLで繰り返し、そしてLLに修正してLLHLLLとなる。中国語では語頭第3声の連続する2音節語で第1音節が声調変化で第2声になる。それを話者が元の第3声で繰り返し、第2声に修正して第2音節の第3声と合致する。日本語と中国語と同じプロセスで非流暢性が生起する。
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