2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02744
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
横山 安紀子 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (00297798)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 音韻象徴性 / 音声学 / 調音 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題「音韻象徴性における調音ダイナミズムの研究」においては「音韻象徴性」がどのように生じるのか、という疑問を解明することを目的としている。これまでの先行研究では説明しきれない要因があると考えられた。研究代表者は調音ダイナミズムが音韻象徴性を生じる過程で重要な役割をもつと考え、その調査研究を行ってきた。 研究初年度から、本課題に関する文献調査は継続的に行い、音声学、心理言語学、認知言語学等の分野から関連する多大な収集資料を入手し精読した。研究2年目においては音声学・解剖学に関する文献資料を基に研究代表者自ら子音・母音の相対的位置関係を示す調音位置表を作成した。この調音位置表は研究代表者のオリジナルであり、これまでにはない試みである。作成した調音位置表をもとに音韻象徴性を示す語句について動的表現と日本語の空間表現を表す語表現について検証を行い、随時学会発表および論文で発信してきた。次年度においてはモデル理論を確立するために音声を用いた実験の検証を行った。これまでに約60名の被験者を対象にデータを収集することができた。 全体的結果から「調音ダイナミズム」が音韻象徴性に関与する傾向を得ることができた。しかしながら、実験結果をより明確に裏付けるためデータの継続的収集および精密な解析と考察、追加実験の必要があることもわかった。本研究の研究結果を発信するにあたり、さらなる見直しをすることを検討することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題についてのコーパス調査を行い、文献調査から広い知見を得ることができた。調音ダイナミズムに関するモデル理論はほぼ完成している段階である。しかし、検証実験についてはほぼ完成段階にあるものの、精密な分析を客観的観点から行っている段階である。これまでの調査および実験結果から、モデル理論を支持する全体的な結果を得ることができたが、より精緻な分析を行い、結果内容を明確にするために時間を要することになった。研究過程において実験の見直しと追加をすることも認められた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策については、研究実施計画に沿ったこれまでの調査研究を継続する。音韻象徴性と調音ダイナミズムの関連性を明らかにするために、より多くの被験者を対象に検証実験の実施を継続する予定である。また実験データの解析を統計処理を含め徹底して行うことが重要であり、その結果を精査したうえで論文にて発表する計画である。研究内容については専門家による知見を受けることも必要になる。本研究結果は適宜学会発表および論文で発信していく予定である。
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Causes of Carryover |
本研究課題をより精度を高め完成させるために、調査・実験の継続と追加の見直しを行う必要が生じる可能性が認められた。ある程度まではすでに行った実験結果から仮説を証明することができた。しかし、説得力のある研究結果を発信することがより重要であると考え、次年度に研究を継続する必要があると考えられた。そのための使用額が生じることとなった。 今後より精密な研究を実行するため必要とする物品、旅費、人件費およびその他の目的のため使用する計画である。主に調査研究および実験実施のための調査研究費、実験材料、被験者に対する諸経費、専門分野の研究者から得る知識の提供等が必要となる。
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