2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K02787
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Research Institution | University of the Sacred Heart |
Principal Investigator |
小柳 智一 聖心女子大学, 現代教養学部, 教授 (80380377)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 副助詞 / 語構成 / 文法変化 / とりたて / 副詞 / テニヲハ |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず、副助詞と密接に関係する品詞である「副詞」の研究論文を公刊した(2019.10)。この論文では、副詞の意味的な本質(これが副助詞と共通する)を、様相性と量性を表す点に見出し、それに基づいて、「程度副詞」「陳述副詞」という真に副詞らしい副詞から他の副詞へ放射的に広がる副詞の体系的な捉え方を提案した。さらに、副詞を生産する際の資材についても考察し、名詞が副詞化する統語的環境として、連体修飾と挿入句があることを指摘した。 次に、副助詞を含む、古代日本語の「とりたて助詞」に関する研究論文を刊行した(2019.11)。この論文では、「限定―反限定」「極端―反極端」「類似―反類似」という通言語的な対立の枠組みに依拠して、古代日本語の「とりたて助詞」を記述し、「反限定」の出現と「反転的な限定」の出現という、日本語文法史的に見て大きな出来事の解説を行った。 次に、古代語の副助詞「だに」「すら(に)」「のみ(に)」「さへ(に)」について語構成論・語形成論に考察した研究論文を公刊した(2019.11)。この論文では、古代語の接尾辞に「語幹的接尾辞」と「語尾的接尾辞」があることを指摘し、それが発達してこれら副助詞が形成されたことを推定した。これは、新たに機能語(助詞・助動詞)を生産する「機能語生産」の類型で言えば、「昇格機能語化」に当たる。 また、その昇格機能語化と、別の類型である「複合機能語化」に関する研究を行った。これら2種類の類型は、機能語生産の中でも劣勢なもので、これまでほとんど研究されたことがないのだが、興味深い問題を有している。これに関する研究論文は現在、完成目前の所まで来ている(近年中に完成、公刊予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
古代語の副助詞に関する語構成論的研究について新規に研究を始め、年度中に完成・刊行することができた。 文法変化に関わる、昨年度から着手した研究を進め、完成目前まで至っている。また、これも昨年度から継続した、副助詞の通言語的枠組みによる研究を完成し刊行した。さらに、継続中の、助詞に関する日本語学史研究についても前進させ、その一部は完成を目前にしている。 以上のような研究成果が得られているので、上記のように評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
古代語の副助詞について基本的に、当初の計画に挙げた課題に取り組む。また、それと並行して、現在進行中の文法変化に関する研究を完成させ、助詞に関する日本語学史的研究も次の段階に進める。
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Causes of Carryover |
探索中の資料を購入するために使用する予定だったが、当該資料が入手できなかった分と、出張旅費として使用する予定だったが、新型コロナウィルス流行で出張が中止になった分である。次年度も引き続き資料を探索し、状況が終息して移動が可能になれば出張する予定である。
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Research Products
(3 results)