2017 Fiscal Year Research-status Report
ルクセンブルクにおける移民の子弟への識字教育支援 -社会経済的不平等解消のために
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17K03009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小川 敦 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (00622482)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ルクセンブルク / 言語政策 / 識字教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
第一年度である29年度は、ルクセンブルクでの移民の社会統合の障壁となり経済的不平等を固定化する要因となるドイツ語による識字の問題点と教育制度の課題について理論的に整理することに研究の重点を置いた。さらに近年になって次々と打ち出される新たな施策について情報のアップデートを行い、調査研究を進めた。また、ヨーロッパの複言語地域(スイスのドイツ語圏、イタリア・南チロル、マルタ)に関して、特に学校教育制度、外国語教育政策の観点から、これまでに得られている知見とともにルクセンブルクとの比較研究を進めた。 2018年2月にイタリア・南チロル、3月にルクセンブルクに滞在し、調査を行った。言語政策を決定する側(南チロルではイタリア語部局、ドイツ語部局、ルクセンブルクでは教育省)に対してインタビューを行い、理想とされている複言語教育政策と実際の困難についての情報・資料収集につとめた。また、複数の学校を訪問し、現場レベルでの工夫、上からの政策とのすりあわせについてなど、教員への聞き取りを行った。さらに、現地の研究者との意見交換も積極的に行った。 2017年6月の言語政策学会では複言語地域であるマルタに関する発表ではルクセンブルクの教育制度や言語能力との比較を行った。2018年3月の言語教育エキスポではスイスのドイツ語圏でもフランス語圏に接する地域の外国語教育政策・パスパルトゥーについて紹介するとともに、ルクセンブルクとの比較を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一年度は今後の研究のための基礎的・理論的なまとめに力点を置いたため、現地での学校インタビュー調査等でやや遅れが見られるが、今後の3年間で十分に実行可能である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は文献調査はもちろんのこと、ルクセンブルク市以外の地域の公立学校、移民支援団体に対する調査・インタビューを行う。
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Causes of Carryover |
出張旅費を想定よりも安価におさえることができたため。また、購入予定の書籍や資料が2017年度中に発行されず、2018年度にずれこんだため。
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