2018 Fiscal Year Research-status Report
ルクセンブルクにおける移民の子弟への識字教育支援 -社会経済的不平等解消のために
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17K03009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小川 敦 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (00622482)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ルクセンブルク / 言語政策 / 識字教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
第二年度である30年度は、ルクセンブルクにおける移民のおかれた不平等な状態、特に教育と言語の関係で生じがちな格差について先行研究を用いて理論的に構築することを心がけた。また、ヨーロッパの複言語地域(特にイタリア・南チロル)における学校教育制度や言語教育政策との比較を行った。 2018年12月、2019年2月の2度にわたり、合計2週間強ルクセンブルクに滞在し、調査活動を行った。 移民背景を持つ児童・生徒が非常に多いとされる小学校、中学校・高校にて授業見学を行い、教員にインタビューを実施した。具体的にはルクセンブルク第二の都市であるエッシュ市の小学校、およびルクセンブルク市内の中学校・高校である。小学校では複言語を用いた授業により生徒の理解を促す様子が見られた。中学校・高校では一昨年に続きドイツ語のICT教材を用いた授業を見学した。 政策面では、小学校における複言語政策の担い手であり、外国人の生徒の支援を多く手がけている教育省の部門の担当者にインタビューを行った。2010年より個々の母語、すなわち言語資産を生かした複言語教育政策を行っている様子をうかがった。実際に現場でどのように行われているのかをつかむのは次年度以降の課題とする。 また、ルクセンブルク市で外国人の支援を担当している部門の長へも社会統合についてインタビューを行った。さらに、ルクセンブルク教育省の初等教育における言語教育の担当者に、2017年より開始された、早期言語教育(4歳まで)におけるフランス語とルクセンブルク語を用いた教育、母語を生かした教育について話をうかがった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第二年度は学校調査でやや遅れが見られたが、一方でルクセンブルク第二の都市エッシュの小学校での調査や、教育省で移民を背景とした生徒の進学に携わる部署とのコンタクトに成功するなど進展が見られた。今後の2年間で計画を実行する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度はこれまでの文献調査に加え、これまでに訪ねた学校での継続調査や、継承語(移民の母語)を生かした言語教育の取り組みについても調査を行う。 また、移民支援団体への調査を行う。
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Causes of Carryover |
参加予定であった学会に行けなかったことや、海外出張の旅費(宿泊費)を安く抑えたこと、また、備品のリプレースを次年度に持ち越したため、次年度使用額が生じました。 平成31年度は国内の学会発表に加え、二度の海外調査を予定しております。備品のリプレースも行う予定です。
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