2019 Fiscal Year Research-status Report
ルクセンブルクにおける移民の子弟への識字教育支援 -社会経済的不平等解消のために
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17K03009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小川 敦 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (00622482)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 言語政策 / 識字教育 / ルクセンブルク |
Outline of Annual Research Achievements |
第三年度である平成31年度/令和元年度はの研究状況は以下の通りである。 ・ルクセンブルクにおける移民や社会・経済的に不利な状況に置かれた人々について、どのような施策が行われているのか調査を続行した。特に言語と教育の関係に見られる格差について、先行研究や最新の文献を調べることに注力した。ルクセンブルク語を統合言語とし、ドイツ語とフランス語を身につけさせる教育制度の根幹は変化させず、しかし少しずつ現状に政策をすりあわせていく様子と、現場での困難について研究を進めた。 ・近年、ルクセンブルク政府によって行われているルクセンブルク語推進政策について、特に実際の運用についての調査を行った。学校ごとに自由がきくようになりつつあるため、ルクセンブルク語が教育現場で柔軟に広く運用されていることが広く行き渡っていることを、これまでの現場での調査だけでなく文献でも確認した。また、ルクセンブルク語は公的な領域を含めた様々な場所で書き言葉として用いられるようになっている。市民が情報を得るための政府が提供しているウェブサイトではフランス語、ドイツ語、ルクセンブルク語、英語の4言語によって提供されるようになっていることだけでなく、小規模地方自治体の広報においても以前に増してルクセンブルク語が用いられるようになっていることを調べた。自治体の言語使用については中規模自治体、大規模自治体と対象を広げて今後さらに研究を進める。 ・昨年度につづき、ヨーロッパの複言語地域、特にイタリア・南チロルにおける言語教育政策について、CLIL(Content and Language Integrated Learning・内容言語統合型学習)の観点から比較研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年3月に早期複言語教育の教員や移民支援団体へのインタビューを予定していたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で渡航をとりやめざるをえなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
COVID-19の感染拡大と各国政府の方針次第であるが、2020年度前半は文献による調査がほとんどとなる。2020年度後半でインタビューや現場視察調査のための渡航を希望している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の感染拡大により、2020年3月に予定していた国内での学会発表および海外調査を見合わせたため。 COVID-19の収束や渡航の状況にもよるが、2020年度に複数回にわたって海外調査および学会での成果報告を行う予定である。
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