2023 Fiscal Year Annual Research Report
Literacy Support for Children of Immigrants in Luxembourg. Concerning Policies to Mitigate Socioeconomic Inequality.
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17K03009
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小川 敦 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 准教授 (00622482)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ルクセンブルク / 言語教育政策 / 言語政策 / 多言語社会 / 移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年に教育省により発表され、2018年に法制化された「ルクセンブルク語振興戦略」(以下「振興戦略」と記す)について、2022年度に引き続いて調査研究を行った。振興戦略についてはその成立過程や文言からは国家、言語、国民を結びつける懐古的で保守的な動きとも捉えられる。2024年3月、振興戦略にともなって設立された「ルクセンブルク語センター」を訪問し、あらかじめ情報を収集した上で、マルテリング所長や所属する研究者らにインタビュー調査を行った。ルクセンブルク語センターは従来から存在するルクセンブルク語オンライン辞典委員会が事実上担うことになったこともあり、多くの言語学者らによって従来からのオンライン辞典の拡充を行うことが主たる業務となっているが、それに加え、振興戦略にも記されているルクセンブルク語に関する問い合わせへの応答、ルクセンブルク語を広める企画の実施なども行っている。従前からの多言語主義を前提としながらもルクセンブルク語に統合言語としての役割を担わせる政策の先端的な組織として機能している。 2023年には総選挙が実施され、保守系のキリスト教社会政党が10年ぶりに政権に戻ってきた。そのため言語教育政策も修正されることも見込まれたが、自由主義政党の民主党が政権にとどまったこともあり、学校の自由化、複言語主義の進展、一方で統合言語としてのルクセンブルク語の強化というやや矛盾するような言語教育政策については大きな変更はないことを確認した。 2022年秋、それまで長年議論されながらも実現されなかった、フランス語による識字教育政策がプロジェクトベースで開始したが、この政策についても昨年度より継続して調査を行った。 これらの成果については2024年中に順次発表を行っていく予定である。
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