2018 Fiscal Year Research-status Report
環境要因と小学校教師の英語教師としての特徴:望ましい小学校英語教育の構築に向けて
Project/Area Number |
17K03015
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Research Institution | Hokkaido University of Science |
Principal Investigator |
中村 香恵子 北海道科学大学, 工学部, 教授 (40347753)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
萬谷 隆一 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (20158546)
堀田 誠 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (20780646)
志村 昭暢 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (60735405)
秋山 敏晴 北海道科学大学, 全学共通教育部, 教授 (80275479)
坂部 俊行 北海道科学大学, 全学共通教育部, 教授 (70337062)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 教師認知 / 早期英語教育 / 環境要因 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,小学校外国語活動に取り組んでいる小学校教師の内面を環境要因との関連において知ることである。それにより、望ましい小学校英語教育の構築のための方策を検討し,それにつながる英語教育全体への貢献することを目指している。そのために,日本における小学校教師の認知面,感情面,行動面に関して,彼らをとりまく地域環境要因とのかかわりにおいて,質問紙調査による量的研究とインタビューやグループ討議による質的研究を混合して用いて課題の解決を図っている。 研究の1年目にあたる2017年は主にデータの収集を行った。具体的には北海道内の地域環境の違いに注目し,それらの地域の教師たちに対する質問紙調査と教師によるグループ討議を実施した。その際、比較データとして用いるため、web による調査も行い全国的なデータも収集した。研究の2年目にあたる2018年は、主にそれらのデータの分析に時間をかけてきた。特に質的分析は複数の研究者間で議論して進めているため、多くの時間を擁している。分析の結果、グループ討議により環境の違いによる教師の特徴の違いを明らかにしたものは学会での口頭発表をするとともに、すでに論文化し、現在査読の結果を待っているところである。また、質問紙調査の結果を量的に分析したものもまた、学会での口頭発表を行い、現在投稿準備中である。 それ以外に、本年度は本研究から得られた情報を適用し、「望ましい小学校英語教育の実現を目指す」というテーマのもと、各地で開催されている教員の研究会において、現場の教師に向けての講演を行ってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の2年目にあたる2018年は、主に前年度に収集したデータの分析を行った。その結果は学会で発表するとともに、2つの論文として纏めることができた。一つは、異なった環境にある教師にグループ討議を実施し、環境の違いによる教師の特徴の違いを質的に分析した。その結果、小学校教師に共有されている指導観とともに、グループによっていくつかの特徴的な傾向が見いだされ、それらを環境要因とのかかわりにおいて考察した。その結果は学会で口頭発表するとともに、論文化して学会誌に投稿済みであり、現在査読の結果待ちである。 また、もう一つの質問紙調査による調査においては、筆者らによる2012年度のデータと、それと同じ質問紙によって得た2017年度のデータを比較することによって、この5年間で教師にどのような変化が見られるのかを分析した。分析の結果、5年というスパンでは全体としては大きな変化は見られないものの、英語指導経験の有無、担当学年、英語力の違い等といった教師の属性の違いに注目することで見られた幾つかの特徴が見られた。その結果は学会で口頭発表し、現在論文投稿準部中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を遂行していく中で、北海道という地域の教師に見られる特徴を明らかにするという新たな課題が浮かび上がった。先日の文部科学省による「英語教育実施状況調査」において、札幌市を除く道内の中3の英語力が都道府県内で最下位となっている。北海道における小学校教師の内面を他の地域との比較において知ることは学習者としての特徴の一面を知ることにつながり、彼らが今後英語教育を担当していくことを考えると、今後の英語教育の課題や可能性を探る一助となるものと考える。今後は、新たなデータの収集と分析を進め、そこから得られた知見から「小学校英語教育の早期化・教科化」への望ましい対応について、教師の視点から提言をしていく。
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Causes of Carryover |
本年度はデータの分析に時間をかけたことから、調査のための支出が少なかった。また、海外での学会の発表が研究代表者の事情により実現できなかったことから、予定外に残額が大きくなってしまった。今後は、さらに質的なデータを集める予定があることと、国内外の学会での発表のための支出が見込まれている。
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Research Products
(3 results)