2022 Fiscal Year Annual Research Report
A study on the characteristics and network of historical consciousness seen in the collection of antiquarian artifacts by Edo archaeologists
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17K03085
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Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
岩橋 清美 國學院大學, 文学部, 准教授 (50749653)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 松平定信 / 感徳録 / 古史逸 / 立教館 / 守国公御伝記 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は本研究の最終年度にあたるため、天理大学附属天理図書館において松平定信関係史料の補足調査を2022年7月28日・11月10日・12月1日に実施した。本調査では、松平定信が彦根藩主井伊直亮に与えた教諭書、白河藩の藩校立教館関係史料、松平定信の伝記である「守国公御伝記」を閲覧し、定信の人的ネットワークや思想的背景の一端を明らかにすることができた。なかでも「立教館童蒙訓」は立教館における教育方針を述べたもので、その内容は定信の著作である「自教鑑」との類似性が高いことがわかった。また、「守国公御伝記」は明治4年(1871)に桑名から東京に赴任した高松徳重らが編纂したもので、序文によれば広瀬典「羽林公伝記」・岡本茲奬「感徳録」・田内親輔「守国公御伝記草稿」を参照したとあるが、その内容を見る限り、松平定信の「宇下人言」を基本とし、御所の造営・町会所設置・房総沿岸の海防巡視といった江戸幕府老中としての事跡に特化して編纂されたといえる。これらの伝記史料が伝える定信像には微妙な差異があり、編纂者の藩内における立場や定信との関係性が影響していると考えられる。 収集史料の分析として、「感徳録」本編第3巻の解読、「古史逸」の解読を行なった。とくに「古史逸」については、2022年12月23日・2023年1月23日・1月27日に國學院大學において研究会を開催し、解読・解釈を進めた。「古史逸」は定信の著作として知られるが、本史料に関する本格的な研究は皆無であったといえる。研究会活動を通じて、定信が古代中国に仮託して田沼政権を批判していることを明らかにした。 本研究のまとめとして3月に研究成果報告書を作成した。
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Research Products
(1 results)