2018 Fiscal Year Research-status Report
近世日本の鉱山開発を支えた豪農商と〈鉱山知〉の歴史的分析
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17K03093
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
添田 仁 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (60533586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 舞 神戸大学, 人文学研究科, 特命助教 (30623813)
安田 容子 宮城学院女子大学, 付置研究所, 研究員 (60726470)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 鉱山社会 / 豪農商 / 山師 / 開発 / 石炭 / サロン / 鉱山知 / 生野銀山 |
Outline of Annual Research Achievements |
基盤的な作業として、石川家文書の整理を進めた。史料画像データの作成については、170点(500枚)を写真撮影し、加えて一部画像不良のものについて約30点を再撮影(130枚)を行った。これらのうち700点分の目録を採録した。他方、美術品・蔵書類の基礎調査も行い、写真データと概要目録の作成を進めた。また生野銀山史の基礎史料として「石川日記」と掛屋・藤本市兵衛の日記の翻刻を進めた。これらの整理作業は、次年度も引き続いて行う。 石川家文書を用いた研究も進めた。とりわけ、開港前夜の神戸鷹取山(神戸市長田区)で石川家が携わった石炭山の開発に関わる史料群の翻刻と整理を完了し、目録・史料集を発行することができた。また、小椋俊司・井上舞は、それらの成果を活かしつつ、生野書院企画展「四代目 石川伊兵衛魚連の挑戦」(10/27-12/16)を開催した。 石川家が集めた政治・社会情報や芸術家とのサロンについての分析も進め、それらの成果を「生野銀山 石川家文書の魅力を語る会」で公表した。小椋俊司「石川家に所蔵されていた漂流記 北狄譚」(9/8)は、石川家が世界史的視野をもって幅広く政治・社会情報の蒐集に努めていたことを明らかにした。一方、安田容子「印章箱の印象と「菖蒲沢春景図」」(3/2)は、石川家に遺された印章と生野銀山町の名士たちが集まって協同で作成した「菖蒲沢春景図」を手がかりに、石川家をとりまく文人のつながりと地域画壇の特質について明らかにした重要な成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究については順調に進められているが、整理作業が当初の目標よりも遅れている。これは、目録採録や翻刻の作業に従事できる専門性を備えた人員の確保ができなかったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究については、当初の計画通り進める。とくに「石川日記」の史料集を発行するための準備を行う。他方、石川家文書の整理については、作業の遅れを取り戻すために、専門性を備えた人員を確保・増員して進める。
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Causes of Carryover |
近世文書の解読・整理作業にあたることができる専門性を備えた人員を十分に確保できなかった。次年度は、前年度分を活用し、人員を増員して整理を進める。
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Research Products
(4 results)