2019 Fiscal Year Research-status Report
近世日本の鉱山開発を支えた豪農商と〈鉱山知〉の歴史的分析
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17K03093
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
添田 仁 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (60533586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 舞 神戸大学, 人文学研究科, 特命助教 (30623813)
安田 容子 宮城学院女子大学, 付置研究所, 研究員 (60726470)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 鉱山社会 / 豪農商 / 山師 / 開発 / 石炭 / サロン / 鉱山知 / 生野銀山 |
Outline of Annual Research Achievements |
基盤的な作業として、石川家文書の整理を進めた。史料画像データの作成については分担者の井上舞が担当し、520枚の写真撮影に加えて、一部画像不良のものについて再撮影を行った。これらもふまえて700点分の史料目録を作成した。他方、分担者の安田容子を中心に美術品・蔵書類の基礎調査も進め、写真データと概要目録の作成を進めた。とくに、石川魚連の墨竹縮図の束、および魚連にあてた各人の小作品を集めた画帖の調査を行った。また、印章箱にある資料127点と箱番94(49件90点)の概要目録を作成した。 研究の主な成果は「生野銀山 石川家文書の魅力を語る会」で公表した。とくに、添田仁「中瀬金山を甦らせる-金山師 別所勘左衛門の憂鬱-」(9/28)は、石川家文書に含まれる文書群から、生野代官所管下の中瀬金山(兵庫県養父市)の再興をめぐって見られた山師と勘定所との交渉過程や、鉱山開発に対する地域社会の葛藤の様子を解明した。これは、生野代官所管下で広域に進められた鉱山開発の実態と、そのなかで石川家が果たした役割と方法論を解明した成果である。また、添田仁「笠間藩神谷領の戊辰戦争」は、常磐炭の開発や利用にも関わった笠間藩領における戊辰戦争について論じたもので、幕末における石炭利用の一端を示した成果である。 一方、石川家文書を用いた地域史研究に関わる普及教育活動も進めた。とくに協力者の小椋俊司は、毎週、県立生野高校の高校生4名および引率教諭1名に対して日本史課外授業を行った。また、分担者の井上舞が石川家の歴史や古文書保存の意義・整理のやり方などの講義を行い、実際に古文書の整理を体験してもらう機会も得た(4/23、6/25)。これらの活動は、地域における歴史資料保存の理念や技術について、石川家文書の整理を通して次の若い世代に伝えていく取り組みの一環である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究と整理、ともに当初の目標よりも遅れている。とくに新型コロナウィルスの影響で、年度末に予定していた研究会、および目録の採録や翻刻の作業が実施できなかったことが大きな理由である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの影響で研究、整理、ともに遅れることになるが、現状でできることを進める。研究については、写真撮影を終えた史料を活用しながらできる限り進める。最終年度に予定しているシンポジウムも、感染の状況と研究の進捗を見ながら、開催の可否を判断する。一方、史料の撮影については中断せざるを得ないが、整理については写真撮影を終えているものだけでも進めておく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響もあり、年度末に予定していた研究会および史料の整理と撮影を実施できなかったため。来年度に、感染状況を見極めながら、上記を実施することで使用する。
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Research Products
(4 results)