2020 Fiscal Year Research-status Report
近世日本の鉱山開発を支えた豪農商と〈鉱山知〉の歴史的分析
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17K03093
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
添田 仁 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (60533586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 舞 神戸大学, 人文学研究科, 特命助教 (30623813)
安田 容子 宮城学院女子大学, 付置研究所, 研究員 (60726470)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鉱山社会 / 豪農商 / 山師 / 石川日記 / 鉱山知 / 生野銀山 |
Outline of Annual Research Achievements |
基盤的な作業として、生野銀山石川家文書の整理を進め、撮影済だった史料470点の目録を作成した。現地での史料画像データの作成については分担者の井上舞が担当した。ただし、コロナ禍のために、大人数を動員しての調査・撮影は行うことができなかった。このため、現地にて研究員1名を雇用し、定期的に撮影作業を行った。撮影対象の資料は、この間、年2回の調査合宿時に地域住民らと整理を行っていた箱20とした。箱20は一紙文書が中心で、資料状態も比較的良好であったが、枝番が必要な資料が多く、付番にかなりの時間を要することとなった。8月、9月、11月・1月、2月に、月平均4、5回の作業を行い、85点(第一枝番での点数)、1173枚を撮影することができた。 研究成果を発表する場の「生野銀山 石川家文書の魅力を語る会」についても、コロナ禍のために開催することができなかった。そのため史料翻刻を重点的に進め、成果として『生野銀山石川家資料叢書2 石川日記(嘉永6年~安政元年)』として刊行することができた。石川日記は、2代長英が当主であった文政9年(1826)からほぼ毎日書き継がれたもので、石川家の歴史研究において根幹となる重要な史料の一つである。とくに当該年については、安政の東南海地震やロシア船の大阪湾侵入一件など、幕末の政治史にも大きな影響を与えた事件にかかわる情報が多く記載されており、かつて政治・経済の最前線に置かれていた生野銀山の歴史的特質を象徴的に示すものと評価することができ、今回優先的に翻刻することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究と整理、ともに当初の目標よりも遅れている。とくに新型コロナウィルスの感染拡大により、現地での研究会や史料調査を計画通りに実施できなかったこと、また目録の採録や翻刻の作業の担当者を大学で雇用することが難しかったことが大きな要因である。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの影響で研究・整理、ともに遅れることになる。とくに、石川家文書の所蔵館である生野書院が兵庫県における緊急事態宣言を受けて閉鎖されており、史料の調査や撮影については計画通りに進めることが困難である。そのようななかではあるが、現状でできることを進める。整理は、昨年度に写真撮影を終えたものに着手し、研究についても写真撮影を終えた史料を活用しながら進める。最終年度に予定しているシンポジウムについては、感染拡大の状況と研究の・整理の進捗を見極めつつ、オンラインでの開催も視野に入れて可否を判断することになる。
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Causes of Carryover |
一昨年度・昨年度において、新型コロナウィルスの感染拡大によって現地での調査・整理が困難になったことが理由である。現在も調査先である兵庫県朝来市においては厳しい状況が続くが、現地で調査員を雇用したり、撮影済の史料の目録作成、翻刻などを進めたりすることによって、当初の計画に沿ったかたちでの成果に可能な限り近づけるように努力したい。
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Research Products
(4 results)