2021 Fiscal Year Research-status Report
近世日本の鉱山開発を支えた豪農商と〈鉱山知〉の歴史的分析
Project/Area Number |
17K03093
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
添田 仁 茨城大学, 人文社会科学部, 准教授 (60533586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 舞 神戸大学, 人文学研究科, 特命助教 (30623813)
安田 容子 安田女子大学, 文学部, 講師 (60726470)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鉱山社会 / 豪農商 / 山師 / 石川日記 / 鉱山知 / 海外情報 / 生野銀山 |
Outline of Annual Research Achievements |
石川家文書の史料整理ついては、撮影済みだった300点の目録を作成した。現地での史料画像データの作成については分担者の井上舞が担当したが、コロナ禍のために大人数を動員しての調査・撮影は行うことができなかった。このため、現地にてアルバイト1名を雇用し、定期的に撮影作業を行った。結果、箱20・49・88のうち72点、454コマを撮影し、共有することができた。一方、美術品については、箱94の49件について目録作成および、資料の翻刻を行い、現在も継続中である。箱94は石川魚連の晩年に関する資料群であり、親友の南台秋山より贈られた画帖や書翰からなる。また、墨竹画の習作等からは魚連の古画学習について知ることが出来る。 研究会「生野銀山 石川家文書の魅力を語る会」及び最終年度に予定していた成果公開のためのシンポジウムもコロナ禍のために開催することができなかった。これを受けて、石川日記の整理と翻刻を重点的に進めるとともに、とくに日記に書き留められた各地の災害情報の整理、天保期に生野を襲った旱魃と飢饉などへの地域的対応のなかで石川家が果たした役割について分析を進めた。また、銀・銅などの鉱山資源も含めた貿易品の長崎移送や海外への輸出に伴って発生した水面下での商取引の実態として「抜け荷」(『洋学史研究事典』)を発表した。さらに、石川家のような旧家が所蔵する地域の歴史資料について、その意義を次世代に受け継ぎ、安定的に保存・活用することを目指した取り組みの社会的意義について分析を進め、論考「学生が取り組む地域歴史遺産の保存と活用」(『地域文化の可能性』)を発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
研究と整理、ともに当初の目標よりも遅れている。とくに新型コロナウィルスの感染拡大により、現地での研究会や史料調査を計画通りに実施できなかったこと、また目録の採録や翻刻の作業の担当者を大学で雇用することが難しかったことが大きな要因である。最終年度に予定しているシンポジウムについては、感染拡大の状況と研究の・整理の進捗を見極めつつ、オンラインでの開催も視野に入れて可否を判断することになる。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの影響で研究・整理ともに遅れている。今後も、高齢者の郷土史家と協力して進める調査や公開事業の開催の方法を見極めながら進めなくてはならない。目録の作成については、可能な限り全体像の把握に努めるが、全体的な史料調査が難しくなった場合は、これまでに採録した目録の充実化に努める。一方、成果の公開については現地でのシンポジウム等の開催を予定しているが、開催が難しくなった場合は、史料目録と成果報告を組み合わせるかたちでまとめることも検討する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大により、当初予定していた調査や研究会・成果報告会を実施することが叶わなかった。次年度も引き続き感染状況を見極めながら、可能な限り計画を遂行する。
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Research Products
(6 results)