2018 Fiscal Year Research-status Report
ジャコバン独裁末期におけるロベスピエールとパリの世論
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17K03191
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
松浦 義弘 成蹊大学, 文学部, 教授 (60229416)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ロベスピエール / ジャコバン独裁末期 / 世論 / パリ民衆の言説 / ロベスピエールの言説 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ロベスピエールの言説を検討するだけでなく、ロベスピエールの言説がとくにパリの民衆によってどう受け止められたのかを検討することによっ て、ロベスピエールの権力掌握と失墜の問題を新たな観点から解明することを目的とする。2018年度も、これまで研究を遂行するなかでまだ十分に把握できていない、ジャコバン独裁末期のパリの「世論」(民衆の言説)に重点をおいた史料調査と分析をおこなうために、夏期休暇を利用して1ヶ月間ほど渡仏し、 国立図書館や国立文書館を中心にしてこの作業をおこなう予定であった。とくに、共和暦2年プレリアル初頭(1794年5月末)のアド ミラとセシル・ルノーによるロベスピエールとコロ・デルボワの殺害未遂事件に関する裁判・証言記録の調査・分析を継続する予定であった。しかし家族に病人が出たため、渡仏から約2週間後、文書館が開館する以前に日本に帰国しなければならなくなり、結果的に、文書館での史料の調査・分析はまったくおこなえなかった。このため、春期休暇中にも10日間ほど渡仏し、国立文書館などで史料調査をおこなったが、滞仏期間が短かったこともあって十分な成果をあげることはできなかった。 以上のように、2018年度は家庭の事情のために十分な史料調査をおこなうことができなかったが、研究成果という点では、これまでの史料調査と分析をふまえて、拙著『フランス革命とパリの民衆』に関する服部春彦氏の批判への応答を公にすることができた。2019年度には、日本と韓国のフランス革命研究者によるシンポジウムが成蹊大学で開催されることになっており、研究代表者も日本のフランス革命研究に関して報告することが決まっている。この報告では、本研究の成果を生かした報告をしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
[研究実績の概要]ですでに指摘したように、家庭の事情で夏期休暇中のフランスでの滞在は予定よりも早く切り上げざるをえなかったために、国立文書館での史料の調査・分析ができなかった。このため、本研究課題の進捗状況はかなり遅れていると評価せざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度の8月末(8月28日~31日)に日本と韓国のフランス革命研究者によるシンポジウムが日本(成蹊大学)で開催されることが決まっており、研究代表者もその開催に伴う準備だけでなく、日本のフランス革命研究に関して総括的な報告をすることが決定している。そのため、2019年度の前半はこの日韓シンポジウムの準備と実現に忙殺されるはずであり、本研究課題の進捗状況もさらに遅れることが予想される。けれども、2019年度末には日韓シンポジウムとその成果の公表作業等にめどがついていると期待されるので、その後に急ピッチで本研究課題の進捗の遅れを取り戻したいと考えている。
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