2019 Fiscal Year Research-status Report
ジャコバン独裁末期におけるロベスピエールとパリの世論
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17K03191
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Research Institution | Seikei University |
Principal Investigator |
松浦 義弘 成蹊大学, 文学部, 教授 (60229416)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ロベスピエール / 世論 / ジャコバン独裁末期 / パリ / ロベスピエールの言説 / 民衆の言説 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ロベスピエールの言説を検討するだけでなく、ロベスピエールの言説がとくにパリの民衆によってどう受け止められたのかを検討することによっ て、ロベスピエールの権力掌握と失墜の問題を新たな観点から解明することを目的とする。 2019年度には、8月末に、日本と韓国のフランス革命研究者による国際シ ンポジウムが成蹊大学で開催され、研究代表者も、本研究の成果も活かして戦後日本のフランス革命研究に関して報告した。このシンポジウムでの報告とその準備のために、研究代表者は、例年のように夏期休暇を利用して渡仏し、フランスの国立文書館などで史料調査をすることができなかった。 以上のような事情による史料調査の遅れを取り戻すため、2019年12月末から2020年初めにかけて約20日間渡仏し、国立文書館などで史料調査をおこなおうとした。しかし渡仏期間をとおして交通ストが続き、文書館までの交通機関(メトロ13番線)が停止したままであったため、文書館での史料調査はまったくできなかった。さらに悪いことに、2月末からは新型コロナウイルス感染症が日本でもフランスでも猛威をふるうにいたり、両国間の入出国が不可能な状態になったため、春期休暇を利用してのフランスでの史料調査も実現できなかった。 このように、2019年度は、上記の事情により、研究遂行のための基礎作業であるフランスでの史料調査がまったく進展しなかった。しかし、上記の国際シンポジウムで本研究の成果を活かした報告が可能となっただけでなく、これまでの史料調査をふまえて、拙著『フランス革命とパリの民衆』に関する竹中幸史氏の批判への応答を公にすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
「研究実績の概要」で指摘したように、今年度は、夏のシンポジウムでの報告、冬のフランスでの交通スト、新型コロナウイルス感染症の世界的猛威のために、国立文書館での史料調査がまったくできなかった。このため、本研究課題の進捗状況は遅れていると評価せざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症がいまだ猛威をふるっており、2020年度の夏期休暇中に渡仏して、国立文書館などで史料調査が可能になるのかどうかは、現時点ではまったく見通しがたたない。現実的には、2020年度の冬期休暇、ないしは春期休暇ぐらいの時期までフランスでの史料調査は困難である可能性が高いと思われる。 本研究課題の遂行のためには、フランスの国立文書館などでの史料調査が不可欠であるが、それが可能となるまでは、刊行史料集を新たな観点から再検討する作業も必要になるかもしれない。
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Causes of Carryover |
8月末のシンポジウムでの報告とその準備のために夏期休暇を利用した1ヶ月以上の滞仏と史料調査ができなっかったことが、次年度使用額が生じた主要な理由である。さらに、新型コロナウイルス感染症のために春期休暇中の渡仏がかなわなかったことも大きかった。 新型コロナウイルス感染症の終息次第であるが、この次年度使用額は、次年度分として請求した助成金と合わせて、できるだけすみやかに使用したいと考えている。
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