2021 Fiscal Year Research-status Report
衛星画像のGIS分析による隋唐都城とシルクロード都市の空間構造の比較考古学的研究
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17K03218
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
城倉 正祥 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (90463447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 慎二 金沢大学, 国際文化資源学研究センター, 特任助教 (00609901)
山藤 正敏 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (20617469)
山内 和也 帝京大学, 付置研究所, 教授 (70370997)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 東アジア都城 / 唐代都城 / シルクロード都市遺跡 / 衛星画像 / GIS / アク・ベシム遺跡 / 唐砕葉城 / 都城門 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、唐代都城が西域シルクロードにどのように展開したのかを発掘遺構、および衛星画像の分析から考究することを目的とする。具体的には、キルギス共和国に位置する唐砕葉城(アク・ベシム遺跡)の測量・GPR調査を踏まえて、北庭故城・交河故城・高昌故城として比較してその構造を把握し、唐長安城・洛陽城と比較する計画である。 本研究課題は、当初、2020年度までを予定していたが、世界的なコロナ禍の影響を受けて、キルギス共和国・中国での国外調査が実施できなくなったことにより、大幅に研究計画を変更せざるを得ない状況となった。国外調査が実施できない状況のため、国内における研究成果の総括作業に研究の主体を置くことにし、延期1年目である2021年度は科研報告書の刊行を目指した作業を行った。 2020年度は、2冊の科研報告書刊行を目指して作業を進めたが、当初の予定を大幅に変更した計画のため、1冊のみ刊行するのにとどまった。2020年9月30日には『唐代都城の空間構造とその展開』(早稲田大学東アジア都城・シルクロード考古学研究所調査研究報告第5冊)を国際共同研究加速基金の経費を用いて刊行できたが、予定していたアク・ベシム遺跡の測量・発掘調査報告書に関しては、作業が終わらず、2020年度内の刊行は断念し、研究期間を延長することにした。 なお、本研究課題の主要な目的である西域都市と唐長安城・洛陽城との比較作業に関しては、2020年9月刊行の報告書で、「唐砕葉城の歴史的位置-都城の空間構造と瓦の製作技法に注目して-」と題する論文を掲載して、その内容を総括した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の中心的課題である西域都市の分析に関しては、2019年度の国際共同研究加速基金を用いた1年間の中国滞在期間中に現地調査を実施する予定であった。しかし、中国新疆での治安問題、あるいは2019年度から始まった世界的なコロナ禍の影響を受けて、現地調査が実施できなくなり、国内での分析作業および研究成果の公表に集中せざるを得ない状況となった。そのため、2020年度までの研究期間をやむを得ず延長申請し、現在、2022年度末までの延長が認められている状況である。 この間、やはり2年間延長していた国際共同研究加速基金の課題に関しては、科研報告書を刊行し、2021年度末をもって研究を完遂することができた。一方、本研究課題では予定している科研報告書の作成が間に合わず、延長をしている状況にある。ただし、年2回ペースで関連分野に関する研究発表・講演などを実施し、研究成果の発信を行っていると同時に、本研究課題の中心となる西域都市の分析作業は進展しており、2022年度末までには科研報告書を刊行して研究を完了できると考えている。 なお、本研究では大きく3つの課題を設定してきた。①キルギス共和国アク・ベシム遺跡の測量・GPR調査、②西域都市(北庭故城・交河故城・高昌故城)の踏査と衛星画像の分析、③研究総括としての科研報告書の刊行である。①については、既に調査を実施して2020年度に「キルギス共和国アク・ベシム遺跡の測量・GPR調査」と題して、『WASEDA RILAS JOUARNAL』NO.8に報告済である。②に関しては、踏査は実施できなかったものの、衛星画像は購入して、分析を進めてきた。また、唐砕葉城の分析成果については、「唐砕葉城の歴史的位置」と題する論文を科研報告書『唐代都城の空間構造とその展開』の中に掲載している。そのため、残る課題は③の唐砕葉城(アク・ベシム遺跡)関連の報告書刊行となるため、2022年度に進める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題は、本来、2020年度に終了する予定だった。しかし、2019年度から始まった世界的なコロナ禍の影響を受けて、キルギス共和国・中国で予定していた現地調査、あるいは遺物の整理作業を実施することが難しくなり、当初の予定を大幅に変更せざるを得ない状況となった。そのため、中心的作業を国内での衛星画像の分析、あるいは遺構分析に変更することになり、当初予定よりも大幅に計画が遅延することになった。このような状況を受けて、現在、2年間の延長申請を行い、2022年度末までの延長を認められている状況である。 以上のような状況を受けて、2022年度を最終年度として計画を修正した。まず、国内での分析作業に関しては、引き続き、キルギス共和国・中国での都城・都市遺跡の発掘事例を集成して分析すると同時に、既に購入している衛星画像の中でプロットする作業を継続する。このような作業によって、唐長安城・洛陽城と西域都市(砕葉城・北庭故城・交河故城・高昌故城)の空間構造に関する比較を進める。 本研究の成果については、2022年度も計画的に発信を続ける。既に、現段階で研究会での発表・講演も決まっているものがあるため、国内での成果発信は積極的に行う予定である。また、最終年度を総括する報告書の刊行作業も蓄積しており、2022年度末までには唐代都城と西域都市を比較する内容の科研報告書を刊行する予定である。なお、刊行物に関しては、科研費で印刷して全国の研究機関・大学図書館に寄贈すると同時に、早稲田リポジトリや全国遺跡報告総覧でオールカラーPDFを公開して、国内外に向けて成果を発信する予定である。
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Causes of Carryover |
世界的なコロナ禍の影響を受けて研究計画を大幅に変更することになり、そのため、研究計画が2年間分遅延している。繰り越した金額は、2022年度に出版する報告書の刊行費用として使用する予定である。
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