2018 Fiscal Year Research-status Report
Current situations of traditional performing arts in Japan's peripheral region
Project/Area Number |
17K03256
|
Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
山本 健太 國學院大學, 経済学部, 准教授 (40598190)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 地方 / 文化の継承 / 伝統芸能 / 神道文化 / 地域経済 / 観光 / 地方創生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は現地調査を実施した。とくに前年に実施したアンケート調査で典型的,特徴的な回答の見られた団体を対象に,代表者へのヒヤリングおよび神楽練習風景の観察を行った。 例えば,設立年が比較的新しい団体や他の継承団体から独立した団体では,設立当初は共演会の機会がなく,単独公演会をしていた。近年では少しずつ公演を依頼される機会が増えてきたため,単独講演会はしていない。彼らにとってこのような公演会という場,人前で舞う機会があることは,練習のモチベーションになっているという。「設立の経緯もあり,当初は周囲の風当たりが強かった」,「できたばかりの社中なのでいままであった神楽を正しく舞えるようになることがまずは大事」,「舞台装置で魅せるのではなく,神楽本来の舞いで魅せたい」といった,新しい団体であるからそこの悩みも見られた。 また子どもが舞手となる子ども神楽団体では,神楽の指導を近隣の団体の有志が担っている。子どもたちはこの団体を卒業後は指導を受けた有志が所属する団体や舞の所作が好みの団体に所属するものも少なくない。石見神楽では,このような後裔を育成する構造が形成されている。 年間公演数の多い団体は神楽の観光資源としての活用に積極的であり,中にはインバウンドや海外公演も想定し,古英語での演目や英文化されたパンフレットを有するものもみられた。 前年度からの調査の結果,石見地方における神楽の継承構造についてその構造の一端が明らかとなった。これらの成果の一部は,査読論文として学術誌International Journal of Cultural and Digital Tourismへの掲載が決定している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
調査計画では悉皆調査を予定していたが,現地関係者の積極的な協力の結果,ヒヤリング調査により十分なデータの収集が達成できた。本来の計画以上の研究の進展と成果が期待できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
ヒヤリング調査の成果が十分に得られたことから,現在は調査結果を新たな論文にまとめるとともに,国際学会を中心として広く公表する準備を進めている。より一層詳細な現地の状況を把握し,研究の精度を上げるべく,必要に応じて現地調査を実施する。
|
Causes of Carryover |
計画以上の詳細な調査結果が得られ,現地調査の回数を減らせたこと,既存設備(PCなど)を利用することができ,設備更新を見送ったこと,次年度以降,国際学会等による旅費の負担などを考慮した結果,次年度使用額が生じた。 次年度以降,国際学会での研究成果の公表や耐用期間の限度が近づいている設備の更新に使用する計画である。
|
Research Products
(2 results)